HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 50798 Content-Type: text/html ETag: "acacc0-39ac-f0658fc0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Thu, 31 May 2012 02:21:07 GMT Date: Thu, 31 May 2012 02:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社説

社説

朝日新聞社説をもっと読む

朝日新聞社説のバックナンバー

 大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。

有料版のご購読で
朝刊で声やオピニオンも読める!社説など過去1年分の新聞記事が検索できる!
社説だけまとめて読むなら
3カ月分まとめて読める!WEBマガジン「朝日新聞 天声人語・社説」

2012年5月31日(木)付

印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

大飯再稼働―これでは不信ぬぐえぬ

野田政権が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を事実上、決めた。再稼働に反対してきた関西広域連合が30日、「限定的なものとして適切な判断」をするよう求めたことで、理解が得られたと判断した。[記事全文]

野田首相へ―自民との協調が優先だ

野田首相が民主党の小沢一郎元代表と約1時間半会談し、消費増税への協力を要請した。だが、小沢氏は「大増税の前にやるべきことがある」と、今国会での法案成立に反対する姿勢を明[記事全文]

大飯再稼働―これでは不信ぬぐえぬ

 野田政権が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を事実上、決めた。再稼働に反対してきた関西広域連合が30日、「限定的なものとして適切な判断」をするよう求めたことで、理解が得られたと判断した。

 私たちは、見切り発車のように原発を再稼働させることに反対してきた。原発の安全性確保をめぐる状況に、大きな変化があったわけではない。野田政権の判断に強い疑問を抱かざるをえない。

 私たちが再稼働の判断で最も重視したのは、福島の事故を踏まえた安全基準や防災対策の見直しであり、「想定外」のことが起きても減災をはかる危機対応の整備だった。

 なにより、脱原発への道筋を明確にし、「必要な数しか動かさない」政策への転換を示すことが不可欠だと指摘してきた。

 ところが、野田政権が進めたのは、ストレステストの後、付け焼き刃ともいえる暫定的な安全基準を原子力安全・保安院にまとめさせ、専門家の評価なしに政治判断で再稼働に踏み出すことだった。

 政権から脱原発依存に向けた具体策は示されていない。「なし崩し的に原発を動かそうとしているのではないか」。国民の不信はぬぐえないままだ。

 こうした問題点を厳しく指摘してきた関西広域連合が30日になって、姿勢を転換したのにも首をかしげる。

 関西広域連合の会合に出席した細野原発相は、原子力規制庁の設置法案が国会で審議入りしたことを踏まえ、「規制庁発足後、大飯を含め新たな安全基準で再度精査する」と説明した。

 であれば、大飯を稼働させるにしても、あくまでこの夏に限定した措置とし、電力需要が一段落したところで再度停止することを明言すべきだ。

 加えて、運転開始からすでに40年を超える敦賀1号機や美浜1号機をはじめとした老朽化原発や、大地震などのリスクが大きい原発の廃炉を早期に打ち出す必要がある。

 大飯原発の再稼働で、電力融通や節電対策の手が緩むことがあってはならない。

 発電所にトラブルが発生する可能性は十分にあるし、西日本全体では依然として電力は不足気味だ。今後の電力政策を考えるうえでも、送電網の広域運用や需要抑制策の実績を積み重ねていくことが重要である。

 第三者による電力需給見通しの検証を経て、国民は「原発ゼロの夏」への備えを整えつつあった。その意志を無視してはならない。

検索フォーム

野田首相へ―自民との協調が優先だ

 野田首相が民主党の小沢一郎元代表と約1時間半会談し、消費増税への協力を要請した。

 だが、小沢氏は「大増税の前にやるべきことがある」と、今国会での法案成立に反対する姿勢を明確にした。

 平行線だった会談結果をみるにつけても、首相には「一党員との会談」より優先すべきことがあるのは明らかだ。

 政権交代から2年9カ月。「動かない、決められない」惨状が続く政治を前に動かす。

 そのために、譲るべきは譲って、野党、とりわけ最大野党の自民党に、法案の修正合意を真摯(しんし)に働きかけることだ。

 「社会保障は世代間の公平を確保しなければならない。財政も厳しい。(消費増税は)待ったなし。ぜひご協力を」。会談で、首相が小沢氏に説いた危機意識は私たちも共有する。

 社会保障と税の一体改革という、国の将来像に直結するテーマである。「挙党一致」「党内融和」が可能なら、それに越したことはないと私たちも思う。

 これに対し、小沢氏は政権交代が実現した09年総選挙のマニフェストの柱を並べて反論した。「統治の仕組みを大改革し、ムダを徹底的に省いた財源を、新しい政策の財源にする。その約束が緒についていない」

 確かに、民主党のマニフェストは破綻(はたん)状態にある。

 だが、マニフェストが実行できていないからといって、増税にも、社会保障の改革にも手をつけてはならないといわんばかりの主張は暴論にすぎる。

 民主党政権がなぜ、政治を動かせないのか。一歩ずつでも、できることを積み上げていく。そんな着実な政治の営みが欠けていたのではなかったか。

 これまでの国会審議で印象深かったのは、10%への消費増税だけでなく、厚生・共済年金の一元化、年金の受給資格期間の短縮など、2大政党の主張に差のない政策が多いことだ。

 民主党では、法案を採決すれば小沢氏が党を割りかねない、と継続審議や会期の大幅延長による採決先送り論も出ている。だが、それでは「決められない政治」が続くだけだ。

 会期末まであと3週間。審議を尽くし、与野党で一定の合意ができた法案は粛々と採決して成立させる必要がある。

 合意できない政策は、有識者をまじえた「国民会議」で話し合う。そんな自民党の提案を首相は受け入れるべきだ。

 そうして政治を進めた結果、小沢氏が民主党とたもとを分かつというなら仕方がない。首相はもはや腹をくくるときだ。

検索フォーム

PR情報

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
創刊1周年キャンペーン 豪華賞品が当たる!