HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 27 May 2012 23:21:56 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 世界七位の高峰ヒマラヤのダウラギリ(八、一六七メートル)…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 世界七位の高峰ヒマラヤのダウラギリ(八、一六七メートル)の頂上近くには、あおむけに倒れたままのポーランド人がいるという。この人もまた、先輩登山家の亡骸(なきがら)を見つめながら頂を踏みしめたのだろうか▼八千メートルを超す世界の高峰への登頂を目指していた登山家の竹内洋岳(ひろたか)さん(41)が、最後に残ったダウラギリの無酸素登頂に成功。日本人として初めてヒマラヤ十四座を制覇した▼「最強のクライマー」と呼ばれた山田昇さんが十座挑戦を前に遭難死するなど、日本人の登山家には十座の厚い壁が立ちはだかった。竹内さん自身も二〇〇七年、十座目のガッシャーブルム2峰で雪崩に遭った▼腰椎などを骨折する大けがだった。奇跡的に助かったが、ドイツ人とオーストリア人の仲間を失った。背骨を固めるチタン製のシャフトを入れる手術も受けた▼一年後、取り外し、ガッシャーブルムに再挑戦、登頂を果たした。その直前、作家・塩野米松さんの聞き書きにこう答えていた。「成功だけではなくて失敗をちゃんと語らないと。失敗も自分のキャリアですから、それを語らないと、共感というのはないですよね」▼瀕死(ひんし)のけが、仲間の死を経験した人の言葉だからこそ重みがある。半年前の本紙の取材には「登山をスポーツ文化として普及させたい」と語っていた。日本登山界の悲願を成就した山男の無事の帰還を祈る。

 

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