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2012年5月28日(月)付

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一票の格差―もはや、首相の出番だ

どうやら、野田首相は「一票の格差」を「違憲状態」にしたまま衆院を解散する気らしい。国会の会期末まで1カ月を切ったのに、止まったままの衆院の選挙制度改革論議を見れば、そう[記事全文]

地方の交通網―住民自らの手で再建を

地方の交通網が傷んでいる。バス路線はこの5年に全国で1万キロ、鉄道は00年以降670キロが廃止された。地方路線が多い。それぞれ全体の2.5%ほどにあたる。バス会社の7割[記事全文]

一票の格差―もはや、首相の出番だ

 どうやら、野田首相は「一票の格差」を「違憲状態」にしたまま衆院を解散する気らしい。

 国会の会期末まで1カ月を切ったのに、止まったままの衆院の選挙制度改革論議を見れば、そう思うしかない。

 そうではないというのなら、もはや首相自身が各党の党首と談判し、違憲状態を解消してみせるしかない。

 首相の出番であることは、先週の与野党幹事長クラスの会談ではっきりした。

 民主党の輿石東幹事長が示した案が、政府・与党のやる気のなさを象徴していた。

 格差是正のため、小選挙区を「0増5減」する。比例区も75減らし、定数を計80議席削る。105議席となる比例区は11ブロックから全国比例に改め、うち35議席を連用制にする――。

 何のことはない。1カ月前に樽床伸二幹事長代行が各党に示し、「理念がない」「複雑すぎる」と猛反発を浴び、協議をこじらせた案そのままだ。

 事態を打開するために、首相は輿石氏に収拾を指示した。それなのに再び樽床案を持ち出した輿石氏の無責任さには、ほとほとあきれる。

 座長役として協議をまとめる気はまったくないようだ。

 格差是正を先送りすれば、首相は自民党の求める「話し合い解散」に応じにくい。それで消費増税法案の採決を先延ばしできれば、増税反対の小沢一郎元代表らが党を割らずに済む。

 こんな「党内融和」を、輿石氏がめざしているように見えてしまう。

 だが、違憲状態のままで解散するのも、違憲状態を放置し続けるのも、どちらも立法府としての自殺行為に等しい。

 最高裁が違憲状態を指摘してから1年2カ月、法律で定めた選挙区割り改定案の勧告期限が過ぎ、違法状態となってからも3カ月が過ぎている。これ以上の怠慢、不作為は許されない。

 やるべき作業は三つある。

 まずは緊急措置として「0増5減」を実現し、一票の格差をただして「違憲、違法」の状態を解消することだ。

 その次に「身を切る改革」でもある定数削減を、各党で話し合えばいい。

 そして制度の抜本改革は、首相の諮問機関である選挙制度審議会を立ち上げ、第三者に委ねるべきだ。衆参の役割分担も踏まえて、両院の選挙制度を同時に改革するのだ。

 首相と自民党の谷垣禎一総裁は3カ月前の党首討論で、格差是正の優先で一致していた。あれから一歩も進んでいない。

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地方の交通網―住民自らの手で再建を

 地方の交通網が傷んでいる。

 バス路線はこの5年に全国で1万キロ、鉄道は00年以降670キロが廃止された。地方路線が多い。それぞれ全体の2.5%ほどにあたる。バス会社の7割、鉄道会社の8割は赤字経営だ。

 人口減と高齢化は急速に進んでいる。国の推計では、今後20年で人口は10%減る。65歳以上の割合は今の24%から32%に高まる。これも地方が先行する。

 人が減って乗客が減り、鉄道やバス便が減る。不便だから家の車にたよる。乗客はますます減り、ついに路線がなくなる。悪循環が止まらない。

 津波と放射能に交通網を寸断された東北の被災地でも、復旧費用が課題になっている。

 このままでは、車を運転できないお年寄りや子どもは、都会にしか住めなくなってしまう。

 鉄道やバス会社に任せている限り、不採算路線が整理されるのを見ているしかない。

 地域の住民と行政が知恵やお金を出し合い、生活の足を確保する。そんな発想が必要な時代になってきている。

 たとえば、住民たちでNPOを作り、バスを自主運行する。道路運送法で認められたそんな方法がある。

 ひとつの例が三重県四日市市の「生活バスよっかいち」だ。

 10年前に赤字で廃止された三重交通の路線を引きついだ。NPOが運営し、三重交通に運行を委託している。

 住民の要望にあわせ、病院やスーパーを通るルートに見直した。この2年ほど乗客が減り気味というが、それでも1日80人は三重交通時代の3倍に近い。

 月90万円の経費の3分の1は市の補助だが、残りは運賃と、沿線企業の協賛金でまかなう。

 神戸市のはずれ、淡河町(おうごちょう)のNPOによる乗り合いバスはさらに先を行く。

 補助金は受けていない。収入は1日約25人の乗客からの一律200円の運賃だけだ。運転手は自前。福祉施設から昼間使わない送迎用のマイクロバスを借り、経費を安く上げている。

 四日市も淡河町も、ルートや便数を住民が決めているから、ニーズに応えられている。

 注目されるのは、いずれも乗客の大半がお年寄りであることだ。足さえあれば外出したい。そう考えていたお年寄りの需要を掘り起こしたといえる。

 気軽に出歩くことができればお年寄りの元気にもつながる。街を出てゆく人も減る。市町村にもそんな効果がありそうだ。

 自分の車なしでも暮らせる街はみんなが住みやすい。住民と市町村の工夫にかかっている。

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