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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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「美しさ」の尺度が今度こそ変わるかもしれない。世界的ファッション誌「ヴォーグ」が、やせすぎたモデルは使わないと宣言した。誌上にあふれる「偏った体形」に憧れ、過激なダイエットに走る読者がいるためだ▼「女性のボディーの理想を、より健康的なものにしたい」。ニューヨークの発行元は、モデル業界やデザイナーにも意識改革を呼びかけた。日本版はあす発売の7月号から、健康美を尊ぶ新方針で編集されている▼医療関係者や女性団体に促され、ファッション業界はこの種の自省を繰り返してきた。いよいよ大御所の決断である。影響力はさぞやと思うけれど、日本女性のやせ願望たるや、欧米以上らしい▼2010年の国民健康・栄養調査によると、20代の女性の29%がやせすぎだった。やせすぎとは、体格指数(BMI)が18.5に満たない体形をいう。背丈が160センチなら、体重47〜48キロあたりが境界だ。近頃の若い女性は、食糧難の終戦直後と比べても細めというからたまげる▼5〜17歳が対象の政府統計では、昨年度の女子の平均体重が全年齢で前年を下回った。1世紀を超す統計史上で例のない、先進諸国でもまれな現象だ。妊婦のスリム化もあって、新生児の目方までが減り続けている▼肥満は万病の元だが、やせすぎも総身をむしばむ。食べたいのに食べられず、太りたくても太れぬ人がいるのに、あえてガリガリを目指す修行はなんとも美しくない。「教本」が改まったところで考え直しませんか。