HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50623 Content-Type: text/html ETag: "10074c-1793-4c0de845c8dc1" Expires: Fri, 25 May 2012 23:22:34 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 25 May 2012 23:22:34 GMT Connection: close 特許の国際戦略 「知財大国」中国への対策急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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特許の国際戦略 「知財大国」中国への対策急げ(5月26日付・読売社説)

 特許など知的財産権を活用し、産業競争力を強化することは、日本の成長の原動力になる。知財大国化している中国への対策が急務だろう。

 日本にとって気掛かりなのは、中国の特許出願件数が急増していることだ。

 2010年に日本を抜き、昨年は約53万件と、約51万件の米国も上回って世界1位になった。

 中国政府は、特許や工業製品デザインを保護する意匠権などを合わせた年間の知財出願件数を、15年に現在の2倍近い250万件に増やすという計画を掲げる。

 この方針を受け、中国企業の間に、技術などの権利化を急ぐ意識改革が進んでいるようだ。

 対照的に、日本の昨年の特許出願件数は約34万件にとどまり、6年連続で減少した。日本各社が自社の開発技術を厳選して出願している事情もあろう。

 しかし、特許出願件数は、経済の底力や、イノベーション(技術革新)を重視する企業の姿勢を示す一つの指標だ。日本の低下傾向に歯止めをかけたい。

 一方、中国は「コピー天国」と言われるほど、一部業者による他国技術や商標の模倣が横行しており、被害が後を絶たない。

 日本の技術盗用との観測もある高速鉄道車両の台車技術に関し、中国企業が米国に特許出願していたことが昨年、表面化した。

 中国との知財紛争も増えている。米アップル社の多機能情報端末「iPad」(アイパッド)の中国での商標を巡り、先に取得していたと主張する中国企業とアップル社は係争中だ。

 中国などで事業展開する企業は戦略の練り直しが必要だ。模倣対策を徹底するとともに、積極的に特許を国際出願し、自社の知財を守る体制を強化すべきである。

 日本政府も中国に知財侵害の防止策を求め、日本企業の国際出願を支援しなければならない。

 特許庁が、パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)などの画面上に表示されるアイコンなどのデザインにも意匠権を認める検討を始めたことは評価できる。

 これらの権利保護の必要性は急速に高まっている。日本の対応が遅れれば、中国企業などに権利を奪われかねない。

 昨年、特許法を大改正した米国では、オバマ政権が知財重視を打ち出している。米国との競争も激しく、日本政府と企業は、米国への対策強化も迫られよう。

 官民が連携し、知財の有効活用に弾みをつけることが重要だ。

2012年5月26日01時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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