HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 25 May 2012 01:21:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:一票の格差 解散先延ばしに使うな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

一票の格差 解散先延ばしに使うな

 国会は国政選挙の「一票の格差」をいつまで放置するつもりなのか。このまま次の選挙を迎えれば違憲判決が出るのは必至だ。結論先送りで衆院解散・総選挙を先延ばししているとしか思えない。

 格差最大二・三倍の二〇〇九年衆院選を「違憲状態」と断じた最高裁判決から一年以上がたつ。

 さらに、衆院選挙区画定審議会は直近の国勢調査結果に応じて一年以内に新しい区割りを勧告することになっているが、与野党間の協議が調わず、その期限である今年二月二十五日から三カ月がたっても勧告に至っていない。つまり違法状態だ。

 唯一の立法機関である国会が違憲・違法状態を放置することは、法治国家では許されない。与野党議員は立法府を「違法府」に貶(おとし)めていることをなぜ恥じないのか。

 与野党は二十三日、幹事長・書記局長会談を開き、民主党が(1)人口の少ない五県で小選挙区を一ずつ減らす「〇増五減」(2)比例代表定数一八〇から七十五削減し、残る一〇五のうち三十五に連用制を導入−などとする案を示した。

 最高裁が求めた、四十七都道府県にまず一議席ずつ配分する「一人別枠方式」の廃止には踏み込まず、小選挙区の五減で格差を二倍以内に収める一方、定数八十減で民主党の主張を通し、中小政党に有利な連用制導入で公明党などの理解を得ようとしたのだろう。

 しかし、いかにも継ぎはぎで理念が感じられない。この案は民主党が以前にも提示し、各党の反発で棚上げされたものでもある。反発を承知で再び持ち出し、結論を先送りしたとしか思えない。

 民主党の輿石東幹事長は次期衆院選の時期について来年夏の参院選との「ダブル選が望ましい」と語ったという。逆風が予想される選挙はできるだけ先延ばししたいのが民主党執行部の本音だろう。

 各党の利害が激しく対立する選挙制度は、簡単には結論が得られないことは理解する。だからといって、それを解散先延ばしに利用するのは厳に慎むべきだ。

 まずは〇増五減で違憲・違法状態を解消した上で、導入から二十年近くがたち、弊害も指摘される小選挙区比例代表並立制の抜本的な見直しに各党が合意し、有識者による審議会を設けて議論を委ねたらどうか。

 「一票の格差」解消が必要なのは参院も同じだ。国会は「決められない政治」との指摘に甘んじることなく、国権の最高機関としての矜持(きょうじ)を示すべきである。

 

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