HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50039 Content-Type: text/html ETag: "2aa41-16c9-4c0b6ae15e6fd" Expires: Thu, 24 May 2012 01:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 24 May 2012 01:21:14 GMT Connection: close 中比対立激化 尖閣諸島でも警戒が必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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中比対立激化 尖閣諸島でも警戒が必要だ(5月24日付・読売社説)

 南シナ海の海洋権益を巡り、軍事力を膨張させる中国とフィリピンとの対立が先鋭化してきた。対話を通じ、武力衝突を回避してもらいたい。

 南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)で4月10日、中国漁船がフィリピン海軍艦艇の立ち入り検査を受けたのを端緒に、中国が巡視船を派遣した。双方の艦船がにらみ合う状況が、もう1か月以上続いている。

 スカボロー礁を巡っては、中比双方が領有権を主張している。

 フィリピンは国際海洋法裁判所で領有権問題を解決するよう提案した。さらに、「アジア重視」の国防戦略を打ち出した米国と、合同軍事演習を行うなど軍事協力を緊密化した。中国の強大な軍事圧力に対抗するためだろう。

 これに対し中国は、「フィリピン側による事態の拡大に対応するための様々な準備ができている」と、強い警告を発した。

 フィリピンなど周辺国に比べて中国の海軍力は圧倒的だ。近い将来、空母配備の計画まである。中国は強硬姿勢を自制すべきだ。

 中国の旅行会社がフィリピン観光を中止し、中国政府が比産バナナに対する検疫強化にまで出たのは過剰な反応だ。フィリピン国内での反中デモの高まりやバナナの害虫を理由としているが、フィリピンを圧迫する狙いがあろう。

 一昨年秋、東シナ海の尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の後、レアアース(希土類)の輸出規制などで対日圧力を強めた手法と似通っている。

 尖閣諸島に対し領有権を主張する中国との摩擦を抱える日本にとっても、人ごとではない。

 尖閣諸島周辺では、中国の漁業監視船の示威行動が常態化している。漁船と監視船を組み合わせた行動で「中国の海」の既成事実化を図る中国の作戦は、南シナ海と同じだ。日本は東シナ海の南シナ海化を警戒せねばならない。

 南シナ海の平和と安定は、東南アジア諸国にとって不可欠であるだけでなく、シーレーン(海上交通路)の安全確保という観点から日本の国益でもある。

 日本は政府開発援助(ODA)を活用して、フィリピンに巡視船を供与する方針だ。フィリピンの海上警備の一助となるし、中国をけん制する上でも重要だろう。

2012年5月24日01時31分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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