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温暖化ガス削減 「25%」は撤回し現実的目標を(5月24日付・読売社説)

 「2020年までに1990年比で25%削減」という日本の温室効果ガス削減目標は、速やかに撤回すべきだ。

 3年前に鳩山元首相が国連の会合で打ち出したこの無謀な目標が、どれほど非現実的か。それを如実に示しているのが、環境省の中央環境審議会が公表した試算である。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて実施した試算は、将来の全発電量に占める原発の比率を、0%から最大35%まで5段階に分け、20年時点の温室効果ガスの削減率をはじき出した。

 発電時に二酸化炭素をほとんど出さない原発は、地球温暖化対策上、重要なエネルギーである。

 試算では、事故直前に26%だった原発比率を35%に引き上げ、省エネルギー政策を徹底した場合でさえ、削減率は90年比で最大19%にとどまった。

 現在、稼働する原発はゼロとなり、再稼働のメドすら立っていない。電力の安定供給を図るため、早期稼働が求められるが、将来の原発比率を事故前より引き上げることは、およそ考えにくい。

 海外からの排出枠購入や国内の森林のガス吸収分を加えても、25%削減は達成困難と言えよう。

 京都議定書は、今年いっぱいで期限切れとなり、今後、2020年発効を目指して、新ルール作りが国連の会議で本格化する。

 空手形と化した「25%削減」を掲げたままでは、排出削減の新たな国際枠組みを決める交渉でも、日本が不利な状況に追い込まれるのは間違いない。

 そもそも日本が「25%削減」に取り組むにあたっては、2大排出国の中国、米国を含む「すべての主要排出国による公平な枠組みの構築」と「意欲的な目標の合意」が前提条件になっている。

 だが、数値だけが独り歩きしている現状では、日本は極めて高い削減義務を負わされかねない。

 不公平な削減義務を負った京都議定書の失敗を繰り返さないためにも、実現可能な目標を再設定する必要がある。

 政府は今夏、新たなエネルギー戦略を打ち出す方針だ。原発を含めた適切な電力の比率を決め、それに基づき、温室効果ガスの削減目標も策定することが肝要だ。

 省エネを進めるうえで、排出削減は重要だが、厳しすぎる削減目標は、むしろ生産活動に悪影響を及ぼす。東日本大震災からの復興の足かせにもなりかねない。

 日本の活力をそぐことのない目標設定が求められる。

2012年5月24日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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