HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 23 May 2012 21:21:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:脱自殺大国 若者救うネット広げて:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

脱自殺大国 若者救うネット広げて

 多くの若者が死の瀬戸際に追い込まれていないか。内閣府が公表した自殺対策をめぐる意識調査の結果はそんな警鐘を鳴らしている。未来を担う前途ある人材だ。国を挙げて生きる力を支えたい。

 28・4%とは衝撃的だった。今までに本気で自殺したいと思ったことがあると答えた二十歳代の割合だ。成人の全世代で一番高かった。男性は五人に一人、女性は三人に一人に上った。

 最近は十五歳〜三十歳代の死因のトップを自殺が占めている。結果に本音が表れているとすれば、将来の予備軍に陥らないか気掛かりだ。

 年間の自殺者は十四年連続で三万人を超えている。中高年が大半とはいえ、三十歳に満たない若い世代が毎年のように四千人前後に達する事実は見過ごせない。

 国は五年目を迎えた自殺総合対策大綱を見直している。中高年層はもちろんだが、限りない可能性を秘めた若年層を守る手だてにもっと力を入れたい。

 就職がうまくいかないのを苦にして自殺した三十歳未満の人が二〇一一年は百五十人いた。リーマン・ショック前の〇七年の二・五倍だ。未遂だった人もいたに違いない。事態は深刻化している。

 NPO法人自殺対策支援センターライフリンクによれば、自殺を考える人の多くは生活苦や多重債務、家族の不和、うつ病などいくつかの悩みを併せて抱えているという。就職でのつまずきが引き金になる恐れがある。

 求職中の若者が接する大学やハローワークにゲートキーパー(門番)の知識や技能を習得した担当者を増やしたい。相談の場で不眠を打ち明けたり、借金や家庭のトラブルを訴えたりしたら精神科医や弁護士らにつなぐ役目だ。

 相手の隠れた悩みに気づき、専門機関に連絡して支援を受けたかどうかまで見届ける。富山県などでは理美容師にゲートキーパーになってもらう動きもある。

 今の若者は失業や貧困、過労といった光景が当たり前の時代に育ってきた。就職の失敗は人生の敗北と感じるのだろう。貧困や障害、不登校などの困難を抱える若者の「たまり場」を主宰するNPO法人さいたまユースサポートネットの青砥恭さんの印象だ。

 ありのままの自分を取り戻せるそんな居場所も自殺の歯止めになっている。勝ち負けだけが物差しではない。人とのつながりを土台にした多様な選択肢のある社会をつくる。大綱の精神としたい。

 

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