HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50373 Content-Type: text/html ETag: "15d91c-1787-4c0a2819e1a2f" Expires: Tue, 22 May 2012 23:21:57 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 22 May 2012 23:21:57 GMT Connection: close 災対法改正案 緊急条項の見直しを怠るな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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災対法改正案 緊急条項の見直しを怠るな(5月23日付・読売社説)

 東日本大震災から1年2か月余りもたったのにこの程度の見直ししか提案できないのか。

 政府が国会に提出した災害対策基本法改正案のことだ。大震災の教訓を踏まえて大規模災害への即応力強化を図るというが、使い勝手の悪い緊急措置条項を温存している。初動対応の反省が生かされていない。

 これでは、東海、東南海、南海地震の連動する「南海トラフ巨大地震」などが起きた際に、迅速な対応をとるのは難しいだろう。

 改正案の柱は、国や都道府県の役割を強めることにある。被災自治体の要請を待たずに救援物資を供給できる条項を新設した。

 大震災では、岩手県陸前高田市など多くの自治体の行政機能が失われた。国や都道府県が、独自の判断で被災地に物資を供給できるようにするのは当然だ。

 改正案は、国、都道府県が運送事業者に物資の輸送を「要請」できるとも規定している。

 被災地への物流が滞り、食料やガソリン、毛布など深刻な物資不足が発生したからだ。

 法に要請を明記するのはいいが、肝心なのは、円滑な物資供給について、自治体や民間との連携を深め、より確実に実現する手段を準備しておくことである。

 法案の付則には、東日本大震災を引き続き検証し、速やかに必要な措置を講じるとある。

 次国会以降に先送りした緊急措置条項の改正など、根本的な問題の検討を急がねばならない。

 現行法は、「異常かつ激甚」な災害の場合に、首相が「災害緊急事態」を布告し、必要な政令を制定できると定めている。

 しかし、緊急政令を出せるのは国会が閉会中または衆院解散中に限られ、内容も生活必需物資の配給や物価統制などに過ぎない。

 菅内閣が布告に踏み切らなかった要因には、国会が開会中だったうえ、制約が多かったこともあろう。必要物資の徴用など緊急措置の対象拡大を検討すべきだ。

 緊急時には、国が直接支援に乗り出し、費用も負担するといった措置も考慮してはどうか。平時の国と地方の役割分担に縛られていては、被災地を救えない。

 政府が社会の秩序を維持し、公共の福祉を確保するには、個人の移動の規制など、一定程度の私権制限もやむを得まい。

 そうした場合にも備えて災対法だけでなく、憲法改正や、かつて与野党が議論した「緊急事態基本法」の制定など、幅広い観点から検討することが重要である。

2012年5月23日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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