HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 35866 Content-Type: text/html ETag: "a9080e-22bb-32530300" Cache-Control: max-age=3 Expires: Tue, 22 May 2012 03:21:14 GMT Date: Tue, 22 May 2012 03:21:11 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月22日(火)付

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 「太陽と月とどちらが大切でしょう」と聞く先生に生徒が答えていわく。「月です。月は闇夜を照らしてくれますが、太陽はもともと明るいところを照らすだけです」。『世界のジョーク事典』に見つけた笑話だが、この生徒も昨日の天体ショーを見たら感動したことだろう▼列島各地で金環日食が観察された。皆既日食のように「天の消灯」ではなく、輪となって神々しく光った。拙宅では、観葉植物の木漏れ日が、床(ゆか)にいくつもリングの影を落として幻想的に揺れていた▼古代の人たちは日食を様々に説明しようとした。天の怪物が太陽を食べているとか、太陽の神と月の神が争っているとか、色々ある。いまや奇怪な現象ではないが、それでも深遠な思いにとらわれる▼太陽の直径は月より400倍大きい。だが400倍の彼方(かなた)にある。この偶然が双方の大きさをほぼ同じに見せて、皆既や金環日食が起きる。見えた人は、太陽と月と自分が一直線になったのを実感したことだろう▼天気に泣かされた人は残念だが、雲が湧き、雨が降る大気の層がなければ人も動物も生きていけない。先日97歳で亡くなった詩人杉山平一さんが書いている。〈地球を包む空気の皮のなかに/生きているのに/林檎(りんご)の皮をむいて捨てている〉▼これが全文の詩は色々に読める。自然への慎みを欠く時代への警鐘にもとれるだろう。太陽と月を大切にするのは人知を超えるけれど、地球は人間しだい。もっと顧みたい。感動の余韻を、足元にも向けて。

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