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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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「親愛なるジェシー」で始まる米国大統領の祝辞を、駐日大使が土俵上で代読したのは40年前の名古屋場所。マイクの先にはハワイ出身の高見山がいた。外国人力士の優勝は、それほどの「事件」だった。昭和ではこれだけだ▼隔世の感があるが、昨日の千秋楽の焦点は37場所ぶりの「日本人の優勝」。制したのは、モンゴル生まれで日本国籍を持つ旭天鵬(きょくてんほう)だ。母国の後輩たちに慕われる37歳が、決定戦で25歳の栃煌山(とちおうざん)をはたき込んだ。懐の深さを生かす、見事な引き足だった▼前回の日本人、2006年初場所の栃東は、朝青龍の8連覇を阻んでの賜杯(しはい)である。この年から白鵬が台頭し、天下は青から白へ、モンゴル勢が継いだ。国技館を飾る直近32場所の優勝額からも、日本人は消えた▼ウィンブルドン現象という経済用語がある。市場開放の結果、国内企業が外資系に食われる様を、地元勢が活躍できない英国のテニス大会になぞらえていう。国技を自負する大相撲も似たような「場所貸し」状態である▼旭天鵬を内外どちらと見るかはさておき、モンゴル出身者の優勝はこれで50回。けがで5敗した白鵬も喜び、優勝パレードの旗手を買って出た。栃煌山も稀勢の里(きせのさと)も、ほろ苦い日食前夜を忘れまい▼今場所、序ノ口で優勝した20歳のエジプト人、大砂嵐が注目された。初のアフリカ力士は、達者な日本語で「夢は横綱」と語る。こうした挑戦はうれしいが、内外入り乱れてこその国際化、外だけでは「コクギカン現象」になる。