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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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慣れ親しんだ字といえば、まずは自らの氏名、そして住所などの地名である。人名と地名は縁が深い。名字の研究で知られた丹羽基二(にわ・もとじ)氏によれば、世界最多、30万ともいわれる日本の姓の多くは地名に由来する▼プロ野球の楽天が、本拠地仙台でのセ・パ交流戦「がんばろう東北シリーズ」で、東北6県と同じ姓の人を無料にするという。あさっての中日戦から12試合、当日券に余裕があり、証明するものがあれば家族全員タダになる▼さて、東北各県と同姓のお客さんがどれほど来るか。普通にありそうで、筆者も毎日のように聞くのが「福島さん」である。宮城、秋田、山形さんも知っているが、青森さん、岩手さんとなると珍しい▼ちなみに各種の推計によると、姓に多い都道府県名は山口、石川、宮崎、千葉の順で、次に福島がくる。この五つ、どなたも著名人の一人や二人は思い浮かぶのではないか▼姓が出身県と同じ友人がいる。小学生の頃、社会科の先生に「わがG県のことはGに聞こう」といじられたそうだが、長じてからは得なことばかり。人前で話す身となり、筆名と間違われるほどのインパクトに感謝しているという。誰にも、こよなく愛する地名がある▼城の名に発するとされる「福島」は、もともと「よい土地」の意味らしい。今さらながら、それぞれに美しき地名の由来と、起きたことの落差が恨めしい。大熊、双葉、富岡、浪江(なみえ)、葛尾(かつらお)、飯舘(いいたて)……。出身者はもちろん、全国の同姓さんの思いも同じだろう。