HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50724 Content-Type: text/html ETag: "71c7c-17aa-4c052198bbfa3" Expires: Sat, 19 May 2012 00:21:20 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 19 May 2012 00:21:20 GMT Connection: close 軽減税率 低所得対策の有力な選択肢だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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軽減税率 低所得対策の有力な選択肢だ(5月19日付・読売社説)

 社会保障・税一体改革の国会審議が、衆院特別委員会で始まった。

 消費税率引き上げ関連法案審議の焦点の一つは低所得者の負担を和らげる方策である。

 野田首相が特別委員会で、生活必需品などの税率を低く抑える軽減税率について、「与野党間で真摯(しんし)に胸襟を開いて議論を進める」と述べた意味は大きい。軽減税率は有力な選択肢となりうる。議論を深めてもらいたい。

 法案に盛り込まれた低所得者対策では、まず消費税率を8%に引き上げる2014年4月の時点で「簡素な給付」として現金を支給する。15年10月に税率を10%とする際には、「給付つき税額控除」という制度を導入する。

 給付つき税額控除は、収入が少ない人の所得税を減税し、さらに低所得で所得税がかからない人には現金を支給する仕組みだ。配当や不動産収入などを含め、所得を正確に把握することが制度を適正に運用する大前提と言える。

 政府が15年に導入を目指す共通番号制度がうまく機能しなければ、給付つき税額控除は単なるばらまきに終わる可能性がある。番号制度でも、職業によっては所得を完全に把握するのは難しい。

 給付つき税額控除の場合、すぐには減税や現金支給の恩恵を受けられない問題もある。

 にもかかわらず、財務省はこれまで軽減税率の導入に否定的だ。対象の線引きが難しく、範囲を拡大すれば必要な税収が確保できないなどと説明している。

 生活必需品のコメや生鮮食品、活字文化を担う新聞、書籍などに対象を絞り込めば、政府が懸念する税収の大幅な落ち込みにはならないのではないか。

 消費税を増税しても生活に欠かせない商品の税率が低ければ、家計の支出に与える影響を、その場で抑えることができよう。

 付加価値税の先進導入国である欧州で、広く採用されているのも国民の支持を得ているからだ。

 軽減税率を巡る与野党の議論は活発化してきた。

 民主党の前原政調会長は「柔軟に対応していくテーマだ。検討に値する」との考えを示した。

 公明党の斉藤鉄夫税制調査会長は「税を納める側からすると、理解しやすい」と支持し、自民党の野田毅税調会長も「何を対象にするかは難しいが、それを乗り切るのが一番大事」と指摘した。

 与野党は軽減税率の利点と課題を精緻に議論し、現実的な低所得者対策をまとめる必要がある。

2012年5月19日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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