HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 18 May 2012 23:21:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:夏の電力不足 深化させよう節電文化:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

夏の電力不足 深化させよう節電文化

 今夏の電力不足について、関係閣僚会議が節電や融通増強などで乗り切るよう電力業界に要請した。節電文化を一段と深化させて原発頼みから脱していく。日本全体でその覚悟を共有する好機だ。

 この夏の電力不足は、いかに乗り切るかにとどめず、今後のエネルギー政策についても熟慮する機会ととらえるべきだろう。その手掛かりとなるのは、福島第一原発を失いながら夏を乗り切った昨年の東京電力と、供給量の半分を原発に頼ってきた関西電力の対応の違いだ。

 東電は約一兆キロワット時に上る日本の電力の年間供給量のうち、三割を担う。大規模停電で首都機能を混乱させてはならないという焦りもあり、昨夏は停止中の火力発電所再開やガスタービンによる新たな電源の確保など、四カ月間の突貫工事で供給体制を築き直した。

 供給力の積み上げに加え、企業や商店、家庭のすさまじい節電が夏を乗り切る決定打となった。ピーク時の供給が前年より原発十基分に相当する一千万キロワットも減少し、大震災の被害に苦しむ東北電力にも融通する余裕さえ見せている。

 東電の昨年度の電力販売量は前年度比9%減った。節電文化の浸透を裏づける数字であり、原発ゼロの入り口に立ったと言えるのではないか。東電と東北電は供給余力が膨らみ、政府の今夏の対策に節電目標の数字が記されていない。小さな節電の積み重ねが電力需給の土台を動かし始めている。

 それに引き換え、関電は福島の事故以降、原発再稼働に理解が得にくくなったのに、代替電源の増強に手をこまねくどころか、福井県の大飯原発を再稼働させれば供給はプラスになるとの試算さえ出してきた。再稼働を期待させる世論操作の思惑が透けないか。

 野田佳彦首相も国会で「原発依存度を可能な限り引き下げる」と表明しながら、大飯原発の再稼働には前のめりだ。まずは脱原発依存の見取り図を示し、国民とともに一歩でも前に進むべきだ。

 政府は、北海道、関西、九州の三電力の供給不足が懸念されるため、余裕のある中部、北陸、中国、四国電力にも5〜7%の節電を求めている。不足する地域に、その節約した電力を送り届けるオールジャパン体制だ。

 電力の窮状を語れば、国民は誠意で応えてくる。それは昨年、東電が実証済みだ。この夏、節電文化を深化させ、枝野幸男経済産業相のいう「原発なしでも成り立つ日本」に少しでも近づきたい。

 

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