HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 17 May 2012 22:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ギリシャ再選挙 ユーロ離脱も選択肢に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ギリシャ再選挙 ユーロ離脱も選択肢に

 ギリシャが組閣に失敗し、再選挙を実施する。厳しい財政緊縮策を続けるのか、ユーロ離脱も視野に入れて別の道を探すのか。欧州危機の先行きはギリシャ国民の選択に委ねられる形になった。

 ギリシャは先の総選挙後、パプリアス大統領と各党による組閣協議が続いていたが、最終的に失敗し六月中旬の再選挙が決まった。結果次第では、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などと合意した緊縮策を条件にした金融支援の枠組みが破棄される事態もありうる展開だ。

 金融市場では「支援が止まれば、ギリシャはユーロ圏から離脱を余儀なくされる」との見方からユーロ安、株安が加速している。

 この先、シナリオは大きく三通りが考えられる。再選挙で緊縮策を容認している第一党の新民主主義党や第三党の全ギリシャ社会主義運動が合わせて過半数を占めれば、現行枠組みの下で財政再建が進む。国民は当分の間、耐乏生活を余儀なくされるが、国はユーロ圏に残留できる。

 次は、緊縮見直しを訴えている第二党の急進左派連合が再選挙でさらに議席を伸ばして政権を握り、緊縮策の少なくとも一部を破棄する場合だ。そうなるとEUなど支援側は再交渉して妥協点を見いだすか、それとも支援を停止するか選択を迫られる。

 再交渉がまとまれば、ユーロに残留するだろう。

 だが支援停止となれば、ギリシャ国債は債務不履行が避けられない。金融市場は混乱し、最終的にユーロ圏からの離脱が視野に入ってくる。これが三番目である。

 世論調査によれば、急進左派連合への支持が高まっており、ギリシャが緊縮策を破棄する可能性は少なくない。一方で、国民の七割はユーロ残留を望んでいるという。「生活切り詰めは嫌だが、ユーロからも離れたくない」という矛盾するような希望がかなう余地が残されているだろうか。

 世界経済への悪影響を考えれば、当面はユーロ残留がもっとも穏健で望ましいかもしれない。だが、ギリシャが本来、ユーロに加盟せず自国の中央銀行と通貨をもっていれば、外から強制された緊縮策ではなく、通貨下落によって自律調整できたはずだ。

 ギリシャの苦境はユーロによる規律付けの失敗でもある。「いまさら後戻りできない」と判断するのか。それともユーロを離れて根本治療を目指すのか。ギリシャ国民は正念場を迎えている。

 

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