HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 16 May 2012 22:21:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:技術流出対策 国と企業は知恵しぼれ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

技術流出対策 国と企業は知恵しぼれ

 相次ぐ技術流出が問題化している。企業が膨大な研究費や労力を投じて築いた技術は産業競争力や国の成長の源泉だ。それが外国に漏れれば国益も損ないかねない。国と企業は対策を急ぐべきだ。

 大手工作機械メーカーのヤマザキマザックで三月、中国人元社員が建設機械などの設計図面を外部に流出させたとして不正競争防止法違反(営業秘密の侵害)容疑で愛知県警に逮捕された。

 新日本製鉄は高性能鋼板の製造技術を不正に取得したとして、韓国鉄鋼大手ポスコや退職した新日鉄の元技術者などを相手取り、同法に基づいて総額一千億円の損害賠償などを求める民事訴訟を東京地裁に起こした。

 中国に進出した機械メーカーで技術の粋である金型が流出したり、近年では液晶テレビの技術流出が有名だ。ITバブルがはじけた二〇〇二年ごろ、電機業界でリストラされた研究者が韓国や台湾メーカーに多く転職し、技術も漏れて日本企業が逆転されてしまった例である。

 日本の高い技術を狙った海外企業による人材の引き抜きは今も盛んだ。中枢の技術を担う人材や、工場ラインの責任者らがスカウトの標的になっている。

 「不正競争防止法」は産業スパイのような情報漏えいを防ぐのが狙いで、社内で管理している機密情報を外部に持ち出すことを禁じている。ただ、退職者による技術流出には有効となり得ていない。

 退職者への対策として、企業によっては秘密保持契約や、ライバル企業への転職を禁じる契約を結んでいる。しかし、経済産業省の調査(二〇〇八年度)では、前者の契約で厳密なものを結んでいる企業は約10%、後者は約30%にすぎなかった。保持すべき情報を明確にし、その管理を徹底することは経営者の責務である。契約違反の場合、退職金の減額や損害賠償など毅然(きぜん)とした対応を取ることが情報流出の歯止めとなろう。

 グローバル化や雇用の流動化によりリストラや転職は以前と比べようがないほど増えた。しかし、日本企業の技術者の処遇は依然として横並びの年功型が多く、しかも外国に比べて著しく悪い。引き抜きを防ぐためにも、成果を挙げた人は高い報酬が得られるなど処遇の改善が必要だ。

 技術や特許などの知的財産は成長戦略のうえで最も重要なものの一つである。国もグローバル競争時代に対応した保護策を早急に整備すべきだ。

 

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