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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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ホームランの魅力に米国のファンを目覚めさせたのは、大打者ベーブ・ルースだという。生涯本塁打714本。群を抜く量産に人々は熱狂した。内田隆三著『ベースボールの夢』(岩波新書)によれば、彼の登場で、ホームランはめったに見られない偶然ではなくなった▼「あらゆる障害や抵抗を一挙に無化する、ホームへの魔術的な帰還」(同書)にファンは酔った。いきおい他の選手も飛距離を狙う。ゲームはスリリングになり大衆化したそうだ。日本では昭和の初めごろの話である▼そんな野球の華が、日本のプロ野球で激減している。統一球と呼ばれる「飛ばないボール」を去年から導入した影響とされる。今季ここまでの1試合平均は0.8本。貧打ぶりに「デフレ野球」の陰口も飛ぶ▼とはいえ「豪快」は往々に「大味」にすり替わるから、ファンも賛否があるようだ。ゲームの味わいは微妙なもので、貧打戦はお寒いが、投手戦なら引き締まる。快音響く打撃戦と、投手がへぼな乱打戦も似て非なるものだ▼いずれにしても、ボールをまた変えるのは愚だろう。打撃の成績が上がっても、選手ではなくボールの手柄になる。ここはプロらしく技と力で克服してほしい▼野球好きだった元米大統領F・ルーズベルトは、一番面白い試合は8対7だと言ったそうだ。私感では6対5ぐらいの方が締まっているように思うが、いかがだろう。昨日からセ・パの交流戦も始まった。ボールを恨まず、五月の風に球趣をのせてほしい。