HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50642 Content-Type: text/html ETag: "fe370-177d-4c015b29ba8ab" Expires: Tue, 15 May 2012 22:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 15 May 2012 22:21:13 GMT Connection: close 夏の電力対策 節電頼みでは綱渡りが続く : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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夏の電力対策 節電頼みでは綱渡りが続く(5月16日付・読売社説)

 これで夏の電力危機を防げるのか。綱渡りの毎日が続きそうだ。

 政府が今夏の節電対策案を発表した。内容を詰めた上で、近く最終決定するという。

 対策案は、定期検査を終えた原子力発電所が再稼働せず、全50基が停止したまま猛暑となったケースを想定したものだ。

 関西電力に15%、九州電力は10%など7社管内に5〜15%の数値目標を設けて節電を要請する。

 関西、九州、北海道、四国の4電力には計画停電の準備を求める。電力不足が最も深刻な関電管内は今後、大規模な工場などに節電を義務づける電力使用制限令の発動も検討するという内容だ。

 電力需要の急増に供給が追いつかず、突発的な大停電が起きれば経済や生活が大混乱する。場合によっては人命にもかかわろう。

 企業も家庭も節電に励み、最悪の事態を回避したい。

 しかし、政府の対応策が、供給力に少し余裕のある中部、中国、北陸、四国の4電力管内にも5%などの節電を求め、関電管内に電力を融通する仕組みを前提にしていることは疑問である。

 融通側の4電力も、老朽化した火力発電所をフル稼働するなどギリギリで、発電所が故障で止まる可能性は通常より高いはずだ。融通分をあらかじめ関電の供給力に上乗せするリスクは大きい。

 4社の融通を計算に入れないと関電の節電目標は15%から20%に上がる。その場合も想定し、対策を練り直す必要がある。

 大幅な節電は、経済や生活にダメージを与える。

 昨夏、電力制限が実施された東京電力と東北電力の管内では、企業が工場の操業を土日に移すなどの工夫をしたが、従業員への負担は大きかった。生産体制の縮小や、停電を懸念した海外移転の加速など様々な問題も顕在化した。

 猛暑になれば、エアコンを我慢した高齢者の熱中症など、無理な節電の健康被害も心配だ。節電はあくまで「窮余の策」である。

 福井県の大飯原発2基を再稼働すれば、関電管内の電力不足はほぼ解消する。

 ところが、関電の大株主でもある大阪市の橋下徹市長は、再稼働反対の立場から「電力使用制限令を認識、経験するのも必要かな」などと述べた。電力不足の悪影響をあまりにも軽視している。

 地元のおおい町議会が再稼働に同意するなど、打開への動きもある。政府は夏までの再稼働実現に向け、全力を挙げるべきだ。

2012年5月16日01時28分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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