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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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戦後の日本経済は朝鮮戦争の特需で息を吹き返した。繊維などの業界で「ガチャ万」や「ガチャマン景気」と言われたのはそのころだ。機械をガチャと動かせば「万」のお金がもうかった。今は昔の糸偏(いとへん)産業の活気が、言葉の響きから伝わってくる▼時は流れて、新聞やテレビを新たな「ガチャ」がにぎわしている。携帯電話などで遊ぶゲームにある「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」なる仕掛けだ。これに景品表示法違反の疑いが生じ、近く消えることになった▼縁なき人も多いだろうが、つまりは何種類かの絵柄をそろえるために「ガチャ」と呼ばれるくじを引く。1回数百円だが、運営会社には大収益源で、まさに「ガチャ万」だった。一方で、子どもが月に数十万円もつぎ込むといった問題も起きていた▼ネットを使ったゲーム市場は広がり、プロ野球の球団を所有する企業もある。だが、こういう際(きわ)どさを聞くと、「なんだかなあ」である。中止は自主規制だが、消費者庁が動き出してからのことだ▼ややこしいコンプガチャの説明に、各紙は昔懐かしい「野球選手カード」を引き合いにした。菓子についていて、たとえばある球団の9人がそろうと景品がもらえる。なかなか出ない選手がいて少年らは小遣いをはたいたものだ▼やがて景表法で禁じられるが、度を超す子には駄菓子屋のおばちゃんが意見していた。それとなく見守る地域の目もあった。時は移って、独りで画面に投資する子を思うと、どこかしら寒い。