HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 35256 Content-Type: text/html ETag: "efc3dd-1ff7-56c41040" Cache-Control: max-age=2 Expires: Tue, 15 May 2012 02:21:53 GMT Date: Tue, 15 May 2012 02:21:51 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月15日(火)付

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 いわゆる「てにをは」の使い方で意味はがらりと変わる。沖縄の集会を取材して、あらためて距離を感じたのは13年前だった。米軍普天間飛行場の県内移設に反対する1万2千人が「沖縄を返せ」を合唱した。かつて祖国復帰運動の際、沖縄と本土のへだてなく連帯を託して歌われた歌だ▼歌は末尾で「沖縄を返せ 沖縄を返せ」と繰り返す。ところが会場では「沖縄を返せ 沖縄に返せ」と歌われた。「を」が「に」に変わっただけだが、そこにはもう沖縄と本土の連帯感はない▼代わりに、島を自分たちに返せという、決然とした抗議があった。本土の記者として、歌声に縮こまった記憶は苦い。そして今、沖縄の不信は消えるどころか尖(とが)り、基地の押しつけを「差別」ととらえる意識が広まっているという▼本紙などの世論調査に、沖縄の2人に1人がそう答えていた。「いま沖縄は氷のように冷たい目で本土を見ている」と沖縄に住む作家仲村清司さんは言う。まなざしは「無関心という加担」への抗議にほかなるまい▼沖縄の本土復帰からきょうで40年になる。さる4月28日は、講和条約の発効で沖縄が日本から切り離されて60年の日でもあった。「屈辱の日」の呼び名が今も残るのを、どれだけの人が知っているだろう▼「押しつけ憲法とか言ってますがね、沖縄はその憲法、押しつけてももらえなかった」。旧コザ市の市長だった大山朝常(ちょうじょう)さんの怒りが耳によみがえる。誰もが無関係ではありえない、島の歴史と今がある。


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