HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37298 Content-Type: text/html ETag: "13a9779-281d-d2a51b00" Cache-Control: max-age=4 Expires: Mon, 14 May 2012 00:21:56 GMT Date: Mon, 14 May 2012 00:21:52 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月14日(月)付

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 今年は歌人斎藤茂吉の生誕130年にあたり、きょうが誕生の日になる。茂吉をよく知らなくても、教科書にも載るこの一首は多くがご存じだろう。〈のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり〉。その名を一躍高めた絶唱である▼郷里の山形で生母は5月に死去した。早苗のそよぐ田をツバメが飛び交うころだ。昔は当たり前のように家々に巣をかけていた。しかし今、天上の歌人は心配かもしれない。都会ばかりでなく田園でも、スマートな燕尾服(えんびふく)姿が減っているらしい▼最近ツバメを見ましたか――と日本野鳥の会が呼びかけている。全国から情報を募って実態を調べるのだという。農地の衰退や巣作りに適した家屋が減るなど、近年の受難は想像がつく。だが詳しいことはわかっていない▼ともに小さくて身近で、まとめて「燕雀(えんじゃく)」と呼ばれるスズメも減っている。こちらは「この20年で6割減」という推計があって深刻だ。この国の津々浦々で、ありふれた生き物が、ありふれて在る環境が損なわれている▼野鳥の会は、原発事故による放射性物質の影響も懸念する。子育て中のツバメはせわしない。1時間に何十回もエサの虫を運ぶと聞く。無心な親鳥と、「のど赤き」新しい命を思えば、罪の意識がチクリと痛い▼ツバメが巣をかける家は繁盛する、と俗説に言う。ツバメの巣くわぬ年は火災あり、とも言う。日本列島という大屋根に、末永く飛来してくれようか。今年まだ見ていないのが、気にかかる。

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