HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50437 Content-Type: text/html ETag: "100334-17c2-4bfd99474c5ee" Expires: Sat, 12 May 2012 20:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 12 May 2012 20:21:14 GMT Connection: close 取り調べ可視化 警察の捜査力落とさぬ工夫を  : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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取り調べ可視化 警察の捜査力落とさぬ工夫を (5月13日付・読売社説)

 どの程度までなら捜査に支障を来さないのか、その見極めが肝要だ。

 捜査官が容疑者を取り調べる過程を録音・録画する可視化について、全国の警察が4月から、試行の範囲を拡大した。

 それまでは取り調べの終盤で、容疑者に供述調書を読み聞かせ、内容を確認させる場面に限り15分程度、DVDに録画していた。

 4月以降は、逮捕直後に容疑者から弁解を聞く場面や、否認から転じて自白を始めた状況など、様々なケースを記録している。

 取り調べの透明性が高まれば、供述の誘導や強制を抑止することになろう。捜査官が容疑者に暴言を吐くなど不当な取り調べが後を絶たず、冤罪(えんざい)防止の必要性が指摘されている。

 その一方で、容疑者がカメラを意識するため、供述を引き出すことが一層難しくなるとの懸念も、捜査現場には根強い。

 警察に先行して、検察は昨年から、特捜部の取り調べなどで全過程を含む可視化を試行しているが、容疑者が録音・録画を理由に供述を拒んだ例もあるという。

 容疑者から真実の供述を得られず、結果的に犯罪が未解決に終わる事態は避けねばならない。試行を重ね、可視化の功罪をしっかり検証することが大切だ。

 警察は5月から、知的障害者の取り調べも、可視化の対象に加えた。知的障害者が質問の意味を十分理解できないまま、捜査官に迎合して、犯していない罪を認めてしまう恐れがあるためだ。

 検察では既に、福祉の専門家に取り調べ状況を録画したDVDを視聴させ、問題点の指摘を受けている。DVDを基に、誘導にならない質問の仕方を研究することは意味があろう。警察もこうした取り組みを参考にすべきだ。

 警察の捜査力を低下させないためには、取り調べ以外の捜査手法を検討することも欠かせない。

 欧米では容疑者らから強制的にDNAを採取できる国が多い。英国ではデータベースに560万件の登録があるが、採取が任意の日本は19万件にとどまっている。

 海外では年間で数千件以上実施されている電話などの通信傍受も、日本では対象犯罪が限定され、実施要件も厳しいことから、年間20〜30件程度だ。

 現在、取り調べの可視化の法制化を議論している法制審議会の特別部会でも、こうした捜査手法の拡充は論点の一つとなっている。国際的な潮流も踏まえ、議論を深めてもらいたい。

2012年5月13日01時44分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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