HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49058 Content-Type: text/html ETag: "fe28c-13dc-4bfd9980a4fbf" Expires: Sat, 12 May 2012 22:21:56 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 12 May 2012 22:21:56 GMT Connection: close 5月13日付 編集手帳  : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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5月13日付 編集手帳 

 北海道の医師船木上総(かずさ)さん(56)は、山スキーに出かけたヨーロッパ・アルプスで氷河のクレバスに落ち、16時間宙づりになった。低体温症に陥り、死の一歩手前までいった。25歳の時だ◆『凍る体 低体温症の恐怖』(山と渓谷社)には、その体験と教訓が記されている。一般的に人は体温35度で震えが大きくなり、歩行困難になる。32度で意識障害、30度で不整脈が出て、26度以下で意識がなくなるという◆「天候が絶悪なら3時間で死亡も」「すばやく退却するかビバークせよ」「風による体温喪失はツェルト(簡易テント)である程度防げる」。こうした知識は大型連休中、北アルプス・白馬岳で遭難死した63歳〜78歳の登山者6人にもあったに違いない◆6人は軽装で見つかったが、リュックの中にはダウンジャケットなどの防寒衣が入っていた。手袋も、強風で飛ばされたツェルトも見つかった。高年齢者とはいえ山のベテランたちの判断力と体力を、低体温症が急速に奪い取っていったのか◆この時期、里は春でもアルプスの稜線(りょうせん)は冬の顔である。悲劇を繰り返さないためにも真摯(しんし)な事故の検証が必要だ。

2012年5月13日01時46分  読売新聞)

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