HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 12 May 2012 22:21:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国の人権 大国らしい“法治”を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国の人権 大国らしい“法治”を

 中国は「盲目の人権活動家」に留学名目での出国を認めた。米中関係の悪化を防ぐことを重く見た政治判断だ。「法治の徹底」を強調するのなら、人権問題の改善に真正面から向き合ってほしい。

 活動家は、一人っ子政策で妊娠中絶を強要されていた妊婦らの実態を告発し、当局からにらまれていた。曲折を経ての出国容認は、中国が国際社会の人権批判に素直に耳を傾けたからではない。

 中国外務省は「一般の中国公民」として出国を認めるという。人権問題により、特別な政治亡命を認めたわけではないとの立場を訴える狙いがあるのだろう。

 活動家は、交通をかく乱した罪などで四年余の刑期を終えた後も自宅軟禁された。法的な手続きもないまま、夫婦とも暴行を受けたという。中国は国内で活動家の安全を保証するとしたが、本人が一転、出国を希望した。国際社会の目が届かなくなった時に、自身と家族の安全が守られるかどうか不安を覚えたからではないか。

 米中は今夏、人権対話をすることで合意したが、中国は「人権問題で他国の内政に干渉すべきではない」とクギを刺した。だが、中国が主権国家の原則をたてに、国際社会による人権問題の解決に向けた努力を拒絶するのであれば、理解は得られまい。国際人権規約のうち、すでに署名した自由権規約の批准も急ぐべきだ。

 人権活動家の弾圧だけでなく、チベット族やウイグル族などの民族問題でも中国の高圧的な姿勢が目立つ。この一年で中国の支配に抗議した若いチベット僧らの焼身事件は二十件を超えるという。

 中国公認のパンチェン・ラマ十一世の写真を自宅の目立つ場所に掲げながら、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ十四世の写真を隠し持つ人もいる。婚姻を通じた漢族化政策や経済発展だけでは、民族問題の解決にはむろん遠い。少数民族の宗教や文化も重んじながら、弾圧より着実な対話の道を選んでほしい。

 中国では死刑が多い。共産党一党支配の下で、立法府に実質的権限はなく、司法の独立もないに等しい。三月の全国人民代表大会(国会)で、人権尊重を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が採択された。一歩前進だ。だが、法で人権が保障されても、解釈や適用が恣意(しい)的な「人治」なら意味がない。温家宝首相は会見で「法治主義の徹底」を何度も訴えた。かけ声だけに終わらせてほしくない。

 

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