HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37369 Content-Type: text/html ETag: "a5bfb1-282c-f01bba00" Cache-Control: max-age=1 Expires: Sun, 13 May 2012 01:21:52 GMT Date: Sun, 13 May 2012 01:21:51 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月13日(日)付

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 母と子をうたった詩歌や物語は多いけれど、機微にふれてほろりとさせ、思い出させて郷愁を誘うのは、庶民派の川柳だろうか。〈添乳(そえぢ)したまゝだと気附(きづ)く明(あけ)の鐘〉麻生葭乃(よしの)。赤子に添い寝して、乳を飲ませながら眠ってしまった母の図である▼下の子が生まれて母さんを独り占めすると、まだ幼い兄や姉は少し寂しくなる。〈上の子は足だけ母にふれて寝る〉丸山弓削平(ゆげへい)。そっと伸ばした足に母の足。この場面、「父」では代用がきくまい▼そんな、もろもろへの感謝や追慕を届ける母の日である。ここ数日、花屋さんの軒先は道までカーネーションがあふれている。百花の咲き満ちる初夏(はつなつ)だが、きょうの日の、この花の役どころはゆるぎない▼昨年秋の声欄(名古屋本社版)に、70代の女性が寄せていた。小1だった娘さんが「おこづかいをつかってしまい、カーネーション1本しかかえなくてごめんなさい」とたどたどしい字で書いた手紙を宝物にしているそうだ。一輪のあたたかさが、胸の中に宿り続けたことだろう▼母の日の起源は100年余り前、米国のある女性が亡き母を偲(しの)んだ追悼会とされる。亡母の好んだ白いカーネーションを捧げ、参加者にも手渡したという。共感を呼んで全米に広がり、日本でも戦後、花の名とともに定着した▼人はいくつになっても親の子ども。歌壇の重鎮だった窪田空穂に一首ある。〈八十五の翁となれど母おもへばただになつかし今日は母の日〉。思い出の国にも、感謝は届くはずである。

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