HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49469 Content-Type: text/html ETag: "7eca4-1426-4bfb120f28ac0" Expires: Fri, 11 May 2012 01:21:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 11 May 2012 01:21:16 GMT Connection: close 5月11日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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5月11日付 編集手帳

 〈パーマネントのお方は当町通行をご遠慮ください―××町内会〉。戦時統制下、1939年(昭和14年)の看板に書かれていたと、電通『時代を映したキャッチフレーズ事典』にある。時世というものは、女性の髪にも影を落とすものらしい◆影ではなく「光」を時世から()み取り、女性の髪を照らした人もいる。ロンドン生まれの世界的ヘアスタイリスト、ヴィダル・サスーンさんがそうだろう◆1960年代に発表した活動的なおかっぱ型の「ボブカット」で一世を風靡(ふうび)した。女性の社会進出という時世が背景にあってのことで、ヘアスプレーで髪を固める旧来の手間暇かかるスタイルからの決別に美容界が衝撃を受けたのも不思議ではない◆欧米で経営する美容師養成学校には1万5000人の生徒がいて、そのうちの3割は日本人学生という。弟子、孫弟子、ひ孫弟子…を通じ、「光」のお世話になった女性は多かろう。サスーンさんが84歳で亡くなった◆俳人の中村苑子さんに、妖しくも美しい女性心理の句がある。〈黄泉(よみ)に来てまだ髪()くは寂しけれ〉。その人ならば「(うれ)しけれ」と詠むかも知れない。

2012年5月11日01時28分  読売新聞)

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