HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37007 Content-Type: text/html ETag: "131e6a8-27e7-4fb29f00" Cache-Control: max-age=5 Expires: Fri, 11 May 2012 02:21:14 GMT Date: Fri, 11 May 2012 02:21:09 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月11日(金)付

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 神奈川県相模原市で、ペットのセキセイインコが逃げた。警察に保護された「ピーコ」はしゃべり始める。「サガミハラシミドリク……」と番地まで。万が一に備えて、飼い主の女性が住所その他を教え込んでいた▼何にせよ「再会」のストーリーには心が躍る。その感動は、募る思いと、両者を隔てた時空の掛け算。諦めていたなら歓喜はひとしおだろう、たとえモノでも▼北米大陸の太平洋側に、日本発の財物が流れ着いている。津波がさらい、偏西風が運んだあれこれは、粉々にされた「日常のかけら」である。まずは漁船、ボール、コンテナ入りの米国製高級オートバイ。秋には家屋の木材が加わり、来年2月までに4万トンに及ぶとの予測もある▼インコのように語れぬモノたちに代わって、発見者が手を尽くし、持ち主が次々と判明している。オートバイの主は家と身内3人を失っていた。さびた愛車は、抱きしめたい記憶と一体に違いない▼例のインコは2年前の母の日、息子さんから贈られた鳥だという。「漂着ごみ」と総称される品々にも、所有者との密(ひそ)やかな過去があろう。実際、ボールの手がかりは寄せ書きだった。波間で四季を越え、再び人前に現れたこと自体が、何かのメッセージに思えてくる▼不明者なお3千人。再会はかなわぬにしても、愛する人が愛したもの、生きた証しを求める関係者は多い。あの午後、ふるさとの海岸線から流れ出た記憶を取り戻すべく、しばらくは対岸からの報に耳を澄ましたい。

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