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朝日新聞社説をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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この夏の電力需給がどうなるか。政府の検証委員会の結論がほぼまとまった。原発が動かないことを前提に、学者らが第三者の目で細かく見直した。不足する電力は、電力各社が当初示し[記事全文]
ロシアは世界でも最大級の石油と天然ガスを生産する。米国と並ぶ核兵器大国で、国連安保理の常任理事国でもある。欧州から太平洋にまで連なる広大な領土の周辺には、多くの紛争地が[記事全文]
この夏の電力需給がどうなるか。政府の検証委員会の結論がほぼまとまった。原発が動かないことを前提に、学者らが第三者の目で細かく見直した。
不足する電力は、電力各社が当初示した推計よりも小さくなった。最も心配されている関西電力では、かりに大飯原発を動かせば、プラスに転じる試算も示された。
それでも、ギリギリである。
関電管内では、原発ゼロを前提に、電力使用制限令を含めたあらゆる節電策を準備しておくべきだ。
他の地域でも、目標を決め、積極的な節電に努めなければならない。プラスとされている地域でも、大きな火力発電所がトラブルで止まったりすれば一気にピンチになるからだ。
電力各社は送電網を広域的に運用し、日常的に電力を融通することになる。いざという時に備え、どのエリアでも、できるだけ余裕をつくっておくことが大切だ。
福島第一原発の事故を経て、節電に対する人々の意識は大きく変わった。検証委は、昨夏とこの冬を通じ、原発約10基分にあたる1千万キロワット程度の節電が定着したとみている。
これをどれぐらい伸ばすことができるかが、この夏のチャレンジだ。
検証の過程では、コンピューターが集積し、一般に「節電が困難」とされるデータセンターなどでも、昨夏、10%以上の節電に成功した例が注目された。
空調や照明を調整したり、電気の使用量をリアルタイムで確認できるシステムを導入したりした結果だ。多少の設備投資はいるものの、継続的な省エネ効果が期待でき、数年で投資額は回収できる。
スーパーや飲食店など小口の需要家を束ねることで一定の節電量を確保し、電力会社と取引する新しいビジネスについても紹介された。
また、ピーク時の節電だけでなく、朝の7〜9時や夜8時〜午前1時ぐらいに節電すると、揚水発電で水をくみ上げる時間が長くなり、昼間の電力供給が増えることも確認された。
検証委には、電力各社も出席し、情報を共有した。節電量を売買するネガワット取引や節電を促す料金メニューを導入したり、管内の需要家に協力を求めたりする際に、こうしたデータを生かさない手はない。
第三者による需給検証は、電力会社が発信する情報への不信が強いことから実施された。信頼回復のためにも、全社をあげて取り組むべきだ。
ロシアは世界でも最大級の石油と天然ガスを生産する。米国と並ぶ核兵器大国で、国連安保理の常任理事国でもある。
欧州から太平洋にまで連なる広大な領土の周辺には、多くの紛争地がある。本来なら、世界の経済や安全保障の問題で大きな役割を果たせる存在だ。
なのに、そうなっていない。
そのロシアで12年にわたって実権を握ってきたプーチン氏が、大統領に復帰した。
だが、氏の政治手法は明らかに限界を迎えている。ロシアを発展させるには、就任式で述べたように「開かれ、世界で信頼される国」をめざすほかない。
ソ連崩壊後の10年間、この国は経済と社会の混乱の対応に追われた。21世紀に入り、石油と天然ガスの高値で経済が急成長したものの、資源に大きく依存するもろさを抱えた。
社会の混乱は、野党、メディアを統制する強権で収めた。半面、健全な市民社会はできず、経済成長で生まれた中間層の不満が政治をゆさぶる。
プーチン氏も理解しているようだ。就任式で「民主主義、権利と自由の強化」「国家統治への市民参加拡大」をとなえた。
しかし、これらを常に優先課題に掲げながら、実現できずにきた。言葉にとどまる限り、これから6年間の統治は、きびしいものになる。
対外政策も、これまでのように国益ばかりをいいたて、米欧への対抗を続けるだけなら、影響力を失うばかりだ。
北朝鮮やイランの核開発をはじめ、国際社会には深刻な問題がある。その解決で建設的に動き、協力関係を築かなくてはならない。それでこそ、外国からの技術や資本の導入が進み、産業の競争力も高められる。
同じことは、最優先課題の一つに置くアジア・太平洋の重視にもあてはまる。9月には極東のウラジオストクで、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。
先にプーチン氏は、北方領土問題の解決に意欲を示した。これを実現しないと、極東・シベリア開発に日本の進んだ技術と資本を生かす完全な協力関係をつくることは難しい。
日本も、北東アジアに安全保障やエネルギーで大きな構想を掲げ、積極的に取り組んでゆくべきだ。ロシアから日本へ天然ガス・パイプラインを引く構想が浮かんでいる。さらに両国から韓国、中国を結ぶ送電網の整備も考えてもよい。
この協調は、脱原発と代替エネルギーの確保という日本の重要な問題の解決にも資する。