HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 10 May 2012 02:21:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:東電再生計画 目に余る国の責任逃れ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

東電再生計画 目に余る国の責任逃れ

 枝野幸男経済産業相が東京電力再生に向けた総合特別事業計画を認定した。原発は国策なのに政府の責任は素通りだ。東電悪者論を振りかざすだけでは新たなエネルギー政策の展望は開けない。

 東電の西沢俊夫社長は公的資金注入などを列挙した総合計画について「国の支援をいただかないと立て直しができない」と語った。計画の本質を言い表している。

 東電には損害賠償など福島第一原発事故の処理に兆円単位の費用が重くのしかかるので、国に頼らざるを得ない。

 政府は六月の株主総会後に一兆円出資し、議決権の過半を取得して経営陣の人事権を支配する方針だ。事実上の東電国有化である。

 その伏線は早々と事故から二カ月後の昨年五月に張られた。政府への東電の支援要請に対し、当時の菅政権が「支援組織を設け、何度でも資金支援をして東電を債務超過にはさせない」と応じ、原子力損害賠償支援機構を創設した。

 総合計画は損害賠償が滞らないよう東電再生が最大課題であり、賠償責任すべてを東電に負わせることも可能になる。政府が自らの責任を回避するには渡りに船だ。

 計画は表向き、支援機構と東電との共同策定だが、現実には政府が経産省幹部を送り込んだ支援機構の主導で進められた。原発政策は国策として政府と電力業界の二人三脚で進めてきたのに、政府は東電を牛耳り、まるで裁判官のような振る舞いを続けている。

 原発運転の直接の当事者である東電は責任を免れないが、安全神話を言い広めた政府も同罪ではないのか。大津波の危険性を認識していながら、海岸近くに原子炉冷却用の予備電源設置を認めたのは経産省の原子力安全・保安院だ。

 計画は人件費などの経費削減を打ち出す一方で、七月からの家庭向け電気料金10%値上げや、新潟県にある柏崎刈羽原発の二〇一三年度中の再稼働も盛り込んだ。

 福島第一の事故の検証は国会などでなお進行中で、新たな安全基準づくりも道半ばにある。全国で五十基ある原発は、地元自治体などの反対で今や一基も動いていない。西沢氏の後任、広瀬直己次期社長の「原子力は国のエネルギー政策の大きな土台だ」との発言は無神経にすぎないか。

 野田政権は原発依存度引き下げをどう具体化していくのか。発送電分離を含むエネルギー政策をどう築くのか。その道筋や時期に深く踏み込まず、国民に値上げを強いるのでは納得できない。

 

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