HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 37002 Content-Type: text/html ETag: "9dbf17-280b-96959a00" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 09 May 2012 23:21:15 GMT Date: Wed, 09 May 2012 23:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月10日(木)付

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 ベトナム戦争の取材体験に基づく開高健の小説「輝ける闇」は、表題から意表を突く。ドイツの哲学者、ハイデガーの評言を引いたそうだが、読まずして鮮烈な緊張感に包まれる。常識の裏をかいた「逆さまの形容」は、多用は禁物ながら便利な修辞である▼〈マイナス100度の太陽みたいに/身体(からだ)を湿らす恋をして……〉。桑田佳祐さんの佳曲「真夏の果実」の詞が胸に残るのも、灼熱(しゃくねつ)カラリであるべき日輪を、しっぽり冷涼に描いた技の冴(さ)えだろう▼「太陽まもなく冬眠?」の本紙記事に、ひんやりと不安を覚えた。国立天文台によると、太陽の活動に異変が生じ、地球が「低温期」に入るかもしれない。万物のエネルギー源だけに気がかりだ▼太陽には南北に磁場の極があり、ほぼ11年の周期で正負が同時に入れ替わる。ところが、北極の反転が1年ほど先行し、活動低下の兆しがあるそうだ。磁場に連動する黒点の現れ方も、17世紀後半に始まった低温期に似ているらしい▼往時の異変を、各国の古文書がとどめている。ロンドンのテムズ川が凍り、京都では桜の開花が遅れた。凶作や飢饉(ききん)の多発は、政治や経済を揺るがした。低温期は約70年続いたという▼過日の小欄で触れた氷河期に比べ、太陽活動の盛衰はずっと短い周期で繰り返す。前者を潮の満ち干とすれば、寄せては返す波だろうか。温暖化のさなか、「冷たい太陽」は「良い衰弱」かもしれない。だからといって、省エネの手を緩める「悪い安心」には浸れない。

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