HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 08 May 2012 20:21:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:竜巻の猛威 身を守る“術”はある:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

竜巻の猛威 身を守る“術”はある

 関東地方を襲った竜巻は、かつてない広範囲に甚大な被害をもたらした。竜巻は局地的な現象で発生予知は困難とされる。発生の前兆となる現象や、突発した場合でも身を守る術(すべ)を覚えておきたい。

 跡形もなく吹き飛ばされた家やなぎ倒された電柱などを見ると、まるで震災の爪痕のようだ。竜巻は局地的だが、猛烈な突風を伴うため甚大な被害をもたらす。今回は茨城県つくば市の被害が延長約十五キロにも達し、国内の竜巻では極めて長い。

 竜巻の強さを表す藤田スケール(F0〜5)でみると、一九九〇年十二月の千葉県茂原市(死者一人)、九九年九月の愛知県豊橋市(同ゼロ)、二〇〇六年十一月の北海道佐呂間町(同九人)がF3(風速七〇〜九二メートル)で過去最大だった。今回の死者は一人だが、被害域が広く住宅などの損壊棟数も多く、国内最大級と言っていい。早急な復旧へ向け、政府には迅速な支援を要望しておく。

 上空の寒気と地表の暖気との温度差が大きくなると強い上昇気流により積乱雲が発達し、その下で気流が渦を巻いて竜巻となる。気象庁の統計では年間に平均十三件発生している。台風に伴うケースが多いが、季節を問わず各地で発生するため注意が必要だ。

 ただ、渦が急激に発達するメカニズムが未解明で発生予知や進路予測は難しく、避難時間に余裕もない。頼りは気象庁が出す注意情報だが、昨年は五百八十九回の発表に対し、竜巻の確認は八回と精度は低い。もっと緊迫感が持てるよう工夫できないものか。近隣の情報交換も密にしたい。

 予兆として覚えておきたいのは▽黒い雲が近づき急に暗くなる▽雷鳴が聞こえ稲光が見える▽大粒の雨やひょうが降る−などの現象だ。遭遇したら、屋外では頑丈な建物に避難し、屋内では階下に移動し窓ガラスから離れることを習慣づけよう。

 年間千件以上の竜巻が発生する米国では警戒体制や防災設備が進んでいる。常襲地の中東部では家庭にも地下シェルターが普及している。日本に備えはないが、各自の行動で減災は可能だ。

 大型連休後半の悪天候により北アルプスで遭難が続発し、富山県や埼玉県などでは落雷で死傷者も出た。近年はゲリラ豪雨や台風被害が相次ぎ、今年は豪雪と地滑り、爆弾低気圧にも見舞われた。東日本大震災だけでなく、各地で未曽有の自然災害が目立つ。天災は常に来ると覚悟して備えたい。

 

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