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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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この半世紀、フランスの大統領はドゴールから6人でつないできた。その間、米国大統領は10人、日本の首相は25人を数える。在任期間がすべてではないが、フランソワ・オランド氏を待つ地位はそれなりに重い▼6年前、仏社会党の夏季研修をのぞいた。女性党員の求めでサインに応じるオランド氏。勢いよく隣に座った彼女の尻の下で、氏が党首演説に用いた書類が悲鳴を上げている。それをさりげなく抜き取るしぐさがまた、好人物なのだ▼最大野党を長く率いた実力者だが、「いずれは」と思わせるオーラは薄かった。彼で勝てたのだから、華のある候補なら圧勝したかもしれない。サルコジ大統領の緊縮路線は、かくも不評だった▼欧州の主要政党は、いずれも欧州連合(EU)の味方である。野党の時は大衆迎合的でも、政権につくと「欧州の与党」として財政を絞り、国民の支持が離れる。オランド氏も、ドイツを筆頭にEU各国、市場、世論の顔色をうかがいながら、綱渡りを強いられよう▼フランスで、ギリシャで、EUの統治やユーロに背を向ける左右の両極が伸びた。失業に福祉後退と、グローバル化による国内の矛盾が深まり、民意の動揺を大政党が受け止めきれなくなっている▼財政難、限られた政策メニュー、大政党の不人気、懲らしめの投票、ポピュリズム台頭……。欧州の混迷に学ぶべきは多い、というより、彼我のなんと似ていることか。ただし、オランド氏には最短5年、絶大な権力が与えられる。