HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48739 Content-Type: text/html ETag: "f4a9f-133b-4bf74b118a44f" Expires: Tue, 08 May 2012 00:21:55 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 08 May 2012 00:21:55 GMT Connection: close 5月8日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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5月8日付 編集手帳

 昔のなぞなぞに、〈いずみにみずなうしてりうかえる〉(泉に水無うして龍かえる)というのがある。泉の水がなくなれば「白」、「りう」がひっくり返って「うり」、答えはシロウリ(白瓜)となる◆水の消えた泉から、龍が音も立てずに天空へ帰っていく。空想の光景が美しく、夏の季語シロウリの時節が近づくたびに思い出す。いつもの年ならば、である。昔の人が龍の昇天する姿になぞらえたという竜巻の所業は、暴虐以外の何ものでもない◆空爆の跡と説明されればそう信じてしまいそうな街の様子に、息を()んだ方は多かろう◆大型連休最終日の6日、竜巻と見られる突風が関東地方を襲い、1900棟もの建物が損壊した。茨城県つくば市では、倒れた自宅の下敷きになって中学生が亡くなっている。これが、こいのぼりを翻して“風薫る”5月の風の仲間だとは思えない◆竜巻に備えての心得を読み返してはみるものの、身を顧みれば、いつどこで起きるやも知れぬ地震と、こちらに向かって暴走してくるやも知れぬ車とで、注意力の在庫も底をつきかけている。龍よ、せめて人知れず、天へ帰れ。

2012年5月8日01時23分  読売新聞)

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