HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 08 May 2012 00:21:55 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 未見の方の興をそがぬよう、あえてタイトルは書かないが、少…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 未見の方の興をそがぬよう、あえてタイトルは書かないが、少し前のある米映画の幕切れには度肝を抜かれた。物語とは何の脈絡もなく突然、大量のカエルが空から降るのだ▼竜巻などに巻き上げられた物が、離れた場所に後で降ることがある。日本語にもそれを意味する「怪雨」という言葉があるが、竜巻の“本場”米国の映画ゆえ、あれも怪雨だったと解釈できなくはない▼竜巻の風の強さを表す尺度「藤田スケール」で知られる故藤田哲也博士は著書『たつまき』で、最強のF5をこう解説する。<数トンもある物体がどこからともなく降ってくる>▼同書によれば、一九二五年に米国で発生した竜巻では巻き上げられたズボンが、持ち主の家から六十三キロも離れた場所に降ったこともあるという。そのズボンは、持ち主の元に戻ったそうだ▼茨城県つくば市などで六日、竜巻とみられる突風が大きな被害を出した。恐怖の渦があらゆる物を巻き上げながら通過し、二千棟以上の家屋が損壊。わけても悔しいのは、倒壊した家でまだ中学三年の男の子が犠牲になったこと▼バスケ好きの十四歳であったという。巻き上げられたわけではないが、竜巻が天へと連れ去った命には違いない。屋根も車もズボンも、ほかの物は舞い上げられてもいずれ地上のどこかに戻る。詮ないが、ならばこの命こそ、と思わずにはいられない。

 

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