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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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「サザエさん症候群」なる言葉を初めて耳にしたのは随分前だが、今でも使われているらしい。日曜の夜6時半から人気アニメ「サザエさん」が放送される。その主題歌を聴くと翌日からの仕事を思って気分がふさぐ、という心理作用を言うそうだ▼実際にそんな現象があって、言葉が生まれたのかどうかは知らない。ただ、休みも終わりの「日曜の夜」に「月曜の朝」が忍び寄ってくるあの感覚は、勤め人の一人として分かる。淡水と海水の混じり合う、汽水域のような時間である▼さて、旗日の並びに恵まれた黄金週間も今日で終わる。深呼吸をして、明日からまた出社の新入社員もいるだろう。少しは慣れたか、まだ緊張がとけないか。ともあれオフからオンへ、上手に気分を切り替えてほしいものだ▼ひと頃の流行語だった「五月病」の影が、昨今は薄くなってきたという。結構なことと思ったら、そうでもない。5月に限らず通年化しているらしい。仕事の現実を前に、期待との落差にへこむ人は多いと聞く▼当たり前だが、授業料を払って学ぶのと、給料をもらって働くのは違う。いきなり面白く、「自分に合った」仕事などまずない。酸っぱいものがいつの間にか熟れるように、時間をかけて、仕事の味は深まっていくのだと思う▼〈麗しき春の七曜(しちよう)またはじまる〉山口誓子。暦はもう夏だが、週の始まりをフレッシュな気分で迎えられる人は幸いだ。名句の香を胸いっぱいに吸って、明日からの新人諸氏にエールを送る。