HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 36395 Content-Type: text/html ETag: "125463d-2558-3236f400" Cache-Control: max-age=3 Expires: Thu, 03 May 2012 23:21:13 GMT Date: Thu, 03 May 2012 23:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年5月4日(金)付

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 たとえば春から米、秋からは麦と、同じ田畑で二つの作物を育てる農法が二毛作(にもうさく)だ。毛(もう)には実りの意味があり、不毛といえば成果が出ないこと。ちなみに「不毛」を含む本紙記事を検索すると、昨今は国内政治の話ばかりである▼育毛剤や増毛術の広告を見ぬ日はない。あれこれ試し、「不毛の努力」に疲れた向きには朗報だろう。東京理科大の研究チームが、本人の「毛の元」からフサフサを実現する道を探っているそうだ▼毛を生やす毛包(もうほう)の細胞をマウスから取り出し、生まれつき毛のないマウスの皮膚に移植する。約3週間後、74%の率で毛が生えたという。体毛は体毛に、ヒゲはヒゲになり、ちゃんと生え替わる。ヒトの毛包細胞で試すとヒトの毛が生えた▼本数を稼ぐには細胞増殖の技術が要るが、わが遺伝子で荒野の「多毛作」に挑める日も夢ではない。地毛(じげ)が生やし放題となれば、カツラを潔しとしない人も捨て置けまい。担当の辻孝教授は「10年ほどで、一般の脱毛治療や増毛に役立てたい」という▼無論、加齢ゆえの薄毛なら流れに任せる手もある。「髪は滅んでも中身は成長するんだ、人間は」。コラムニストの神足裕司(こうたり・ゆうじ)さんが、薄毛仲間との対談集『誇大毛想』(扶桑社)で喝破していた▼頭髪の再生は、人目を気にせず前向きに生きる策には違いない。選択肢が多いのは結構だが、見た目より中身の戒めもある。頭上の異変は、ひょっとして自分を磨けというお告げかもしれない。内なる豊作を目ざすのもいい。


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