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2012年5月2日(水)付

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日米防衛協力―このなし崩しは危うい

「日米同盟は新たな高みに達した」野田首相はきのう、オバマ米大統領との共同記者会見でこう語った。同時に発表した日米共同声明で、アジア太平洋地域での日米の防衛協力強化をうた[記事全文]

中国の人権―「法治」を掲げるのなら

中国の「盲目の人権活動家」陳光誠(チェン・コワンチョン)氏(40)が、軟禁されていた山東省の自宅から北京に逃れ、米政府に保護された。クリントン米国務長官らが出る米中戦略[記事全文]

日米防衛協力―このなし崩しは危うい

 「日米同盟は新たな高みに達した」

 野田首相はきのう、オバマ米大統領との共同記者会見でこう語った。同時に発表した日米共同声明で、アジア太平洋地域での日米の防衛協力強化をうたったのを指してのことだ。

 だが、ことは日本の防衛政策の根幹にかかわる問題だ。国内で十分な議論もしないまま、首脳同士で勝手に「高み」に達してもらっては困る。

 今回の防衛協力強化には、米国の軍事費の実質的な肩代わりという懸念以上の問題点がある。私たちは専守防衛の自衛隊の定義から逸脱しかねない事態を招くことを危惧する。

 防衛協力の事例は、首脳会談の前にまとめた米軍再編見直しの中間報告に盛られている。

 まず、グアムや北マリアナ諸島で日米がそれぞれ費用を出しあって訓練場をつくり、共同訓練をする。

 次に、日本の途上国援助(ODA)を使ってフィリピンなどに巡視船を供与する。巡視船は武器扱いされるが、平和貢献・国際協力目的で武器輸出三原則の例外とする。昨年の三原則緩和で、事務的手続きのみで輸出できるようになった。

 一昨年の新しい防衛計画の大綱で打ち出した「動的防衛力」への転換と、南西諸島の防衛力強化の流れに沿う。ふだんの活動量を増やすことで抑止効果を高めるという動的防衛力が、いよいよ具体化に向かう。

 アジア太平洋地域での米国との共同訓練や、周辺国への巡視船の供与には、この海域で活動を活発化させる中国海軍に、にらみをきかせる狙いがある。

 こうした日米協力は、米国の対中戦略には合致するだろう。だが、日本にはどうか。

 日本がグアム近海で抑止効果を狙った訓練をすることで、どんな利点があるのか。抑止力ではなく、むしろ混乱要因にならないか。そもそも、この訓練をどう生かすつもりなのか。

 巡視船の供与は、軍事目的を避けるというODA大綱の理念に背かないか。06年にインドネシアに提供した際には、マラッカ海峡の海賊対策という名目があったが、今回は何のためか。

 こうした疑問に対し、野田首相や外務、防衛両相らに、国会での明確な説明を求める。

 野田政権は、沖縄の米軍普天間飛行場の移設をめぐって混乱した日米関係の修復を急ぐあまり、防衛協力に前のめりになりすぎている。

 日本の防衛にはどんな政策が最適か。それを示さなければ、国民の理解は得られない。

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中国の人権―「法治」を掲げるのなら

 中国の「盲目の人権活動家」陳光誠(チェン・コワンチョン)氏(40)が、軟禁されていた山東省の自宅から北京に逃れ、米政府に保護された。

 クリントン米国務長官らが出る米中戦略・経済対話が3日から始まるのを控え、米中間で話し合いをしているようだ。中国は陳氏に自由を認めるべきだ。

 陳氏はこの1年半、根拠が不明なまま軟禁された。

 「一人っ子政策」による強制的な妊娠中絶を批判し、被害者の訴訟を支援していた。2006年に交通を妨害した罪などで有罪とされた。4年余りの刑期を終えたにもかかわらず、出所後も監視下に置かれたのだ。

 脱出後、陳氏はビデオメッセージを公表した。

 「尊敬する温家宝(ウェン・チアパオ)首相」と呼びかけ、大勢の私服の治安当局員らが何の法的な手続きもなく家に入り、陳氏や夫人に暴力を振るったと告発した。医者に見せることも許されなかったといい、関係者の処罰や家族の安全確保を求めた。

 中国では、人権活動家らに対して、理由のつかない厳しい措置が横行している。

 ノーベル平和賞を受けた獄中の作家、劉暁波(リウ・シアオポー)氏の妻、劉霞さんは軟禁され、外部との接触が断たれている。エイズウイルス(HIV)感染者の権利擁護に取りくむ胡佳氏ら、きつく監視されている活動家らも多い。

 中国当局は、こうした無法な弾圧をすぐにやめるべきだ。

 それこそが、党が強調する「法治」につながる。

 次の最高指導部入りを狙っていた薄熙来(ポー・シーライ)・前重慶市党委員会書記が先月、規律違反の疑いで、党重要ポストを解かれた。

 これを受け、党機関紙・人民日報は「法律・規律を順守し、法に基づいて事を運ぶことは、何人も例外にはできない厳かな決まりだ」と書いた。それを実践すれば良いのだ。

 亡命するしか安全を確保する方法はないという見方が出ているが、陳氏は出国を希望していないという。国内での自由な活動が認められれば一番良い。

 温首相は3月の会見で、「政府を批判している関係者の代表を招き、直接意見を聞くことも考えている」と語った。陳氏の願いを受け入れれば、本気度を見せることができる。

 陳氏は、アジアのノーベル平和賞と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞するなど、国際的に注目されていた。それでも暴力は続き、逃げるしかなかった。

 日本を含めた国際社会は、普遍的価値である人権を大切にするよう、中国への働きかけをさらに強めるべきだ。

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