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5月1日付 編集手帳

 作者は福井県の小学生という。〈学校までの地図かくと/色えんぴつの緑だけへる/(ほか)の色もぬりたいよ〉。中央経済社刊『日本一短い手紙』から引いた◆子供のころを振り返ると、クレヨンや色鉛筆の減り方にはなるほど、色によって遅速があった。夏には空と海の青が活躍したのを思い出す。緑の芯が減るとは、なんと幸せなことだろう◆小社の報道写真集『東日本大震災』の巻頭に2枚の衛星写真が載っている。ともに宮城県南三陸町、志津川中学校の周辺を撮影したものである。10年前の濃い緑色が、震災翌日の昨年3月12日には一面の褐色に変わっている◆東北地方で拾い集めたドングリを、全国の“育て親”に配って苗木にしてもらい、被災地に植樹する。ある木工会社(岐阜県高山市)の取り組みを伝える記事を読んだ。消えた緑をよみがえらせる試みが始まっている◆北原白秋に色鉛筆の歌がある。〈草わかば色鉛筆の赤き()のちるがいとしく寝て削るなり〉。『初夏晩春』と題する連作の一首は、これからの季節だろう。被災地の子供たちに一日も早く、弾む心で緑の色鉛筆を削る日が戻ることを。

2012年5月1日01時12分  読売新聞)

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