HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 26 Apr 2012 21:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:再生エネ価格 ポスト原発の先駆者に:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

再生エネ価格 ポスト原発の先駆者に

 経済産業省の調達価格等算定委員会の委員長が再生可能エネルギーで発電した電気の買い取り価格案を提示した。日本は原発に頼らなくても済む社会に向け、ポスト原発の先駆的役割を担うべきだ。

 東京電力福島第一原発の事故で原発に対する信頼は著しく失墜した。風力など再生エネの潜在力を開花させ、何としてでも原発の代替電源として独り立ちさせたい。

 二〇三〇年までに原発を全電源の五割以上、再生エネを二割以上に引き上げる現行のエネルギー基本計画は白紙に戻して見直し中だ。今夏に策定予定の新計画に再生エネの活用を積極的に位置づけるよう求める。

 全量買い取りが始まる七月を前に示された委員長案は太陽光一キロワット時四十二円、風力二十三〜五十七円、地熱二十七〜四十二円などだ。枝野幸男経産相が最終決定するが、再生エネ業界の評価は「普及に十分な水準」と前向きだ。

 制度は昨年成立した再生エネルギー特別措置法により創設され、電力会社に買い取りを義務づけた。新たなエネルギー社会への第一歩となるよう望むが、早急に向き合うべき課題も少なくない。

 その第一は電力会社が買い取り費用を料金に上乗せするため、電気の使用者に負担を強いることだ。一般家庭は月額百円未満の見通しだが、買い取り量が増えてくれば負担額も膨らむ。福島第一原発がまき散らした放射性物質が原因で十万人を超える人々が住まいを追われた。その現実を見据えれば協力を期待したいが、使用者に甘えてばかりではいけない。

 太陽光発電は量産効果が表れ、この二年間でコストがほぼ半減した。さらにパネル施工業者などの競争も促してコストを下げ、負担の圧縮に努めるべきだ。

 さらに欠かせないのが、再生エネの関連業界を活性化させて雇用増にも結びつける政策誘導だろう。日本は二〇〇〇年代半ばまで太陽光発電機材の生産が世界一だったが、今や中国にその座を奪われ、大幅な減産を迫られている。

 二二年までに全原発を停止し、新たな電力供給の体制づくりを急ぐドイツより日本の日照時間は長い。火山も多く地熱発電も勝る。その優位性を生かして再生エネを増やし、同時に電気自動車の充電器などを組み合わせた総合力を高める戦略が不可欠だ。

 国産の再生エネを軸にエネルギーの安全保障を高め、併せて再生エネの関連産業の現場も元気づけるしたたかさがほしい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo