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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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郷土愛にあふれ、とにかく大きいものが好きなテキサス州の人々は、米国ジョークに欠かせぬ存在だという。米50州の中で面積も人口も2番目とあって、1番へのこだわりは大抵でないらしい▼ここ2年、ワールドシリーズに進んだレンジャーズへの期待を思う。悲願まであと一球と迫りながら、カージナルスに逆転優勝を許した去年の悔しさ、いかばかりか。三度目の正直を託された助っ人が、ほかならぬダルビッシュ有投手である▼大リーグの新天地で4度目となる登板は、強豪ヤンキースをホームに迎え、黒田博樹投手との日本人対決に。その大舞台で10三振を奪い、名うての打線を沈黙させた。胸のすく3勝目だった▼打者を追い込むと、観衆が立ち上がって三振を求める。それに応えるたびに、場内を「YU〜」の響きが包んだ。生まれたての「テキサス自慢」を祝福するように。札幌ドームとは違う控えめなガッツポーズに、覚悟と、喜びが詰まっていた▼6年総額6千万ドル(約50億円)で契約した25歳に、ファンの視線は温かくも甘くない。背負うものの重さは本人にしか分かるまい。多くを語らずマウンドに向かう背番号11を、今はただ見守りたい▼黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンに名言がある。「不可能の反対語は可能ではない。挑戦だ」。厚い人種差別の壁を、バット一本で打ち砕いた選手である。幸い、しなる右腕を阻む壁はない。挑んでこそ見えてくる地平へと、行けるところまで、行くだけだ。