HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50499 Content-Type: text/html ETag: "1007ce-179d-4be6f22f0f743" Expires: Tue, 24 Apr 2012 22:21:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 24 Apr 2012 22:21:16 GMT Connection: close 農業白書 補助金頼みでは再生できない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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農業白書 補助金頼みでは再生できない(4月25日付・読売社説)

 環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加をにらみ、農業再生は待ったなしである。

 それなのに、貿易自由化を乗り切る強い農業への転換は進んでいない。

 農林水産省がまとめた2011年度農業白書は、改革の遅れを改めて浮き彫りにしたと言える。

 白書は、民主党政権が10年に策定した食料・農業・農村基本計画に基づく政策を検証した。

 政府が10年度からコメ農家を対象に導入した戸別所得補償については、加入者が増加し、農業経営の改善や生産調整の推進に効果があった、と評価している。あまりに偏った分析ではないか。

 農業所得の平均は8年ぶりに増え、とくにコメ農家は3割以上伸びたが、所得全体の約6割は所得補償の給付金である。

 これほどの補助金頼みでは、足腰の強い農業は実現できない。

 日本の農業生産額の8割は、畜産、野菜、果実などが占め、コメは2割にとどまる。しかし、コメ農家は、全農家のほぼ半分に当たる約120万戸と多い。

 問題は、年2兆円の農業予算の3分の1が、兼業や零細のコメ農家にも一律に補助金をばらまく所得補償に使われていることだ。

 予算は限られている。その中で農業の競争力を高めるには、経営意欲のある中核的な農家に財政支援を集中すべきである。

 生産性を向上させて農業を強化するカギとなる農地の規模拡大も全く不十分だ。大規模化を促すため、11年度に導入された新たな補助事業への申請は約3割と低調だった。兼業農家などの農地の「出し渋り」が要因だろう。

 コメ農家の平均的な農地面積を5年間で2ヘクタールから20〜30ヘクタールに広げるという政府の目標が、絵に描いた餅に終わるのは必至だ。

 1次産業に加工(2次)、流通(3次)を組み合わせた「6次産業化」にしても、農水省の掛け声通りには進展していない。

 取り組んでいる農家の割合は10年間で倍増したが、それでも全農家の2割程度と少ない。直接販売が中心で、付加価値の高いアグリビジネスにはほど遠い。人材確保や資金調達などの課題に政策が対応できていないのが現状だ。

 農業の活性化には、国内市場に安住せず、もっと輸出戦略にも力を入れるべきではないか。

 日本の農産物は食味や品質などで評価は高いが、一部の農家や農協などが独自に開拓する販路だけでは限界がある。政府主導の総合的な取り組みが必要だろう。

2012年4月25日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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