HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49649 Content-Type: text/html ETag: "fe3d5-14e3-4be6f22ed6e86" Expires: Wed, 25 Apr 2012 00:21:49 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 25 Apr 2012 00:21:49 GMT Connection: close 4月25日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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4月25日付 編集手帳

 いまの京都府、丹波の国で犬が(むじな)(アナグマ)を食い殺したところ、狢の腹から勾玉(まがたま)が出てきた。飼い主が朝廷に献上したと、『日本書紀』(巻第六)にある。犬の名を「足往(あゆき)」という◆狢の体内に宝物のにおいを嗅ぎ取ったのか、どうか。正史に名前の刻まれる栄誉に浴したのだから、大変なお手柄なのだろう。足往君も、しかし、マリーンさんには(かぶと)を脱ぐに違いない◆雌のラブラドルレトリバー、10歳である。子宮がんなど婦人科がんでは、マリーンが患者の尿からほぼ確実にがんを嗅ぎ分けたことを日本医科大学千葉北総病院、宮下正夫教授のグループが判別試験で確認したという◆自覚症状のない早期がんも嗅ぎ分ける。マリーンの感じ取るにおいの物質を見つけることで早期発見の技術につなげることができるならば、どんな宝物にもまさる“鼻のお手柄”だろう◆〈犬類(けんるい)金木犀(きんもくせい)の花の()はいかにかひびくこのゆふぐれに〉(小池光)。わが愚鈍な鼻にさえ、花の香りは響く。春爛漫(らんまん)の花の季節、濃縮ジュースを薄めずに飲むのにも似た苦痛がありはしないか…と、誉れ高き“犬類”の鼻をふと案じる。

2012年4月25日01時20分  読売新聞)

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