HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 24 Apr 2012 02:21:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:円滑化法再延長 地銀の真価を発揮して:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

円滑化法再延長 地銀の真価を発揮して

 経営支援を目的とした中小企業金融円滑化法の期限が、来年三月末まで再延長された。地銀などの金融機関は、この一年で中小企業の事業再生にしっかりと道筋をつけられるよう努めてほしい。

 金融円滑化法は、リーマン・ショック後の景気低迷で、資金繰りに苦しむ中小企業のために二〇〇九年十二月に施行された。金融機関に対し、借金の返済猶予など貸し付け条件の変更を要望された場合、応じるように求める内容だ。期限の再延長は、東日本大震災や円高の日本経済に及ぼす影響に配慮した。

 同法は、経営環境の悪化にさらされた中小企業を、一時的に支える効果をあげてきた。半面、返済猶予を繰り返し求める企業も目立ち、本来は市場から退場すべき企業を延命させるというモラルハザード(倫理観の欠如)を招く恐れもある。期限を区切るのは当然である。

 金融庁によると、昨年末までの実行件数は、全国で累計百五十一万七千件近く。このうち中小企業を主要な取引先とする地銀が76%超を実行しており、地銀の果たす役割は大きい。

 再延長に際して金融庁は、金融機関に、課題解決型のコンサルティング機能をいっそう高めることを重点項目に挙げた。期限延長は今回限りとしているだけに、実現性のある経営再建計画という「出口」を見つけることが、いや応なく迫られている。

 ただ、実際は簡単ではない。コンサルティング機能の強化は、金融機関の長年の課題。多岐にわたる業種を網羅して、それぞれ専門的な知識やノウハウを得た上でのアドバイスや、取引先企業との連携の緊密化、外部専門家の活用などは、コストも時間もかかり限界がある。事業再生のため、ほかの企業との提携や合併を進めるにも、借金返済に四苦八苦している企業を、別の優良な取引先企業に紹介できるかどうかも問題だ。

 地銀の経営環境も厳しい。ただでさえ超低金利時代が続いている上に、金融機関同士の低利融資競争も過熱、一方で企業の資金需要は伸び悩んでおり、もうけは目減りしている。正念場となるこの一年が底力の出しどころだ。

 地銀にとって、中小企業の再生は自らの経営環境も改善させ、地域経済の活性化にもつながる。本来は円高是正などの抜本対策が必要だが、望めない今こそ、地域に密着し、地域経済の育て役である地銀の真価を発揮してほしい。

 

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