HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 36869 Content-Type: text/html ETag: "f01fa5-2718-7bcb4e40" Cache-Control: max-age=5 Expires: Mon, 23 Apr 2012 20:21:15 GMT Date: Mon, 23 Apr 2012 20:21:10 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:天声人語
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天声人語

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2012年4月24日(火)付

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 日本が「最後の5羽」で人工繁殖に賭けたのは1981年だった。同じ年、絶滅と思われていた中国で「最後の7羽」が見つかる。そこから日中で始まるトキ再生の物語。雨後の草むらに火をつけるような苦闘の先に、小さな炎が揺れ始めた▼新潟県佐渡市で放鳥されたトキから、初のヒナがかえった。環境省の無人カメラがとらえた子は、餌をねだって親のくちばしをまさぐる。日本の自然界で孵化(ふか)が確認されたのは36年ぶりだ▼親鳥が保温や餌やりに励み、テンやカラスが襲わなければ、5月下旬にも巣立ちが見込まれるという。人が関わらない「野生のリレー」を目ざすからには手助けはできない。なんだか胸が詰まる▼日本のトキは、乱獲や戦後の乱開発で03年に絶滅した。中国から届いた個体による人工繁殖は成功し、4年前に佐渡で始まった放鳥は5回、78羽を数える。半数以上が生き抜き、抱卵中のつがいも多いそうだ▼あらゆる生物には、したたかに種(しゅ)をつなぐ知恵が備わる。ある種が短期間に死に絶えるのは、だから自然なことではない。この地球で「不自然な力」を振り回している種は、一つしかない。〈絶滅種数え尽くして青い空〉小池正博▼日々100種ほどが地球から消えているという。多くは、トキのように美しくも、パンダのように愛敬者でもない。彼らへの供養には足りないが、せめてこの空に、ニッポニア・ニッポンの学名を持つその鳥をお返ししたい。それが環境を、つまり人を守ることにもなる。

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