HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 23 Apr 2012 03:21:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:G20会議 危機克服には課題残る:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

G20会議 危機克服には課題残る

 日米欧と新興国による二十カ国・地域(G20)が国際通貨基金(IMF)の資金増強で合意した。欧州危機の広がりに備えた安全網の拡充だ。しかし、危機を克服するには根本的な課題が残る。

 ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は、焦点だったIMF融資枠について四千三百億ドル(約三十五兆円)以上を増やすことで合意した。日本のほか、中国やブラジルなど新興国も加わり、IMFの融資能力はほぼ倍増される。

 これに先立って、“当”の欧州連合(EU)は、域内の支援枠を五千億ユーロ(約五十四兆円)から八千億ユーロに拡大することで合意している。IMFと欧州を合わせると百五十兆円超の「備え」が積み上がることになる。

 だとしても、欧州危機を封じ込めるに万全かといえば、答えはノーだ。小康状態を保ってきたイタリアやスペインの財政不安が再燃している。ユーロ圏の経済規模で三位と四位の大国である。両国で信用不安が起きた場合、ギリシャの比ではなく、資金の枯渇は避けられないとみられている。

 今回のIMF拡充では、米国やカナダが欧州自身の努力不足などを理由に拠出を見送った。また、欧州が拡充した分には、すでにギリシャ、アイルランド、ポルトガル支援に使った三千億ユーロも含まれており、ドイツなどの慎重論もあって実質的な大幅増強とはならなかった。危機連鎖を警戒している市場の不安感を払拭(ふっしょく)するためには、安全網の一段の強化をIMFとEUが協力して行うべきだ。

 ただ、安全網はあくまでも備えであって、抜本対策にはなり得ない。欧州中央銀行(ECB)が始めた域内銀行向けの緊急融資と同じく、対症療法にすぎない。欧州が抱える債務・金融危機の根本要因にメスを入れないかぎり、危険な状態を脱するのは難しい。

 やはり、域内で通貨・金融は統一したが財政は国ごとの主権を認めるというのに無理がある。競争力あるドイツの国債が買われ、そうでないギリシャは高い金利でないと売れない。結果、格差は広がるばかりだろう。財政の統合がすぐに難しいならば、格差を補完するユーロ共同債の実現を急ぐなど、欧州自身の改革が必要だ。

 日本は、IMF資金強化で欧州以外の最大拠出国(六百億ドル)と胸を張った。しかし、存在感を示すならば、欧州や米国に努力を促し説得することではなかったか。

 

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