「お仕着せ」という言葉は、江戸時代に幕府や役人から囚人に衣服を支給したり、商家の主人から奉公人に衣服を与えたりする「仕着せ」に由来する。季節に応じてなので「四季施」とも書く▼一方的に上から与えられることから、型通りに物事が行われること、転じて決まり切っているという意が生じたとされる。現代で、お仕着せの服といえば、すぐに思い浮かぶのは制服だ▼没個性の制服を改良し、おしゃれを演出する楽しみはいつの時代も変わらないが、お仕着せを打ち破ったのはミニスカートにルーズソックスだ。一九九〇年代後半に女子高生の間で大流行したスタイルだが、最近は、なぜかあまり見掛けなくなってしまった▼今も時々目にするのは、冬、ミニスカートの下にジャージーをはいている女子高生だ。おしゃれと寒さ対策を兼ねるという発想のようだが、ファッション感覚はちょっとあやしい▼高校で今、女子の制服にズボンを選べる学校が増えていると、二十一日付の本紙一面の記事に教えられた。全日制の都立高校百七十六校のうち、女子もズボンを選べる学校が三割超もあるというから驚きだ▼ズボンはまだ圧倒的少数派だが、センスよくはきこなすファッションリーダーが出てきたら、静かな人気になるかもしれない。冬季限定としても、痴漢には遭わないし、なによりも身体を暖めてくれる。