HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 48337 Content-Type: text/html ETag: "ecaadd-3cbe-93601600" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sun, 22 Apr 2012 02:21:07 GMT Date: Sun, 22 Apr 2012 02:21:02 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説
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2012年4月22日(日)付

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TPP―農業の改革はどうした

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題で、米国、豪州など9カ国との事前協議が当分続く見通しとなった。民主党内の反対論を踏まえ、野田首相は今月末の日米首脳会談での参加表明を見送る方針だ[記事全文]

黄砂の季節―国際協力で健康守れ

大陸から黄砂が飛び、春の空をかすませている。暮らしや健康への被害を減らすために、近隣の国で助けあおう。中国やモンゴルの砂漠で細かな砂が強い風に巻き上げられ、偏西風に乗っ[記事全文]

TPP―農業の改革はどうした

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題で、米国、豪州など9カ国との事前協議が当分続く見通しとなった。民主党内の反対論を踏まえ、野田首相は今月末の日米首脳会談での参加表明を見送る方針だ。

 まずは交渉に加わり、日本の主張を協定に反映させるよう努めるべきだ。私たちはそう主張してきた。TPPがアジア太平洋地域の通商の基盤となる可能性を考えてのことだ。政府は対応を急がねばならない。

 事前協議では、シンガポールなど6カ国が日本の交渉参加を無条件に歓迎した。一方、米、豪両国とニュージーランドは態度を保留した。

 TPPの対象分野は幅広い。米国は、業界の反対や懸念を背景に保険、自動車、牛肉の3分野で譲歩を迫っている。

 ただ、日本にとって最大の懸案は農業分野だろう。態度を保留した3カ国はいずれも農業大国だ。日本が農産物市場をさらに開放する用意があるのか、注視している。

 高関税による保護を小さくし、農家への直接支払いで必要な農業を守る――。10年度に始めた戸別所得補償制度で、日本の農政は大きくかじを切った。

 農家の農業所得が減り続ける一方、耕作放棄地は増え、農業の足腰はますます弱っている。悪循環から抜け出すため、戸別所得補償をテコに改革を急ぐ。そう決意したはずだ。

 ところが、取り組みがあまりに鈍い。

 農林水産省は昨年、農家1戸あたり約2ヘクタールの農地を10倍程度に広げ、競争力を高める方針を打ち出した。戸別所得補償に経営規模を大きくした農家への加算金を設け、今年度は大規模化に協力する農地の出し手への補助金も新設した。

 だが、加算金は用意した100億円の3分の1しか使われなかった。零細農家も対象とし、バラマキ色が強い現行の戸別所得補償の仕組み自体を改めないと、大規模化は進まない。

 民主と自民、公明の3党は制度の見直しを協議することで合意している。ただちに議論を始めるべきだ。

 TPPでは、関税引き下げ・撤廃交渉は「すべての品目が対象」とされる。ただ、各国とも守りたい品目を抱えており、例外が認められる可能性は高い。交渉を引っ張る米国の担当者もそう示唆した。

 交渉の場に早く加わって、激変を和らげる措置を勝ち取る。一方で農業改革をしっかり進める。そんなしたたかな戦略こそが求められている。

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黄砂の季節―国際協力で健康守れ

 大陸から黄砂が飛び、春の空をかすませている。暮らしや健康への被害を減らすために、近隣の国で助けあおう。

 中国やモンゴルの砂漠で細かな砂が強い風に巻き上げられ、偏西風に乗って海をわたってくる。西日本各地から東北や北海道にもやってくる。

 気象庁によると、2000年以降、国内に61カ所ある観測点のいずれかに飛来した日は年間30日を、観測した地点数の合計である延べ日数は300日を超えることが多い。

 最も激しかった02年には観測日数が47日、延べ日数は743日にのぼった。

 洗濯物や車を汚し、現金自動出入機(ATM)を故障させるような被害が、あちこちでおきる。ひどいときには視界不良で旅客機が欠航になる。

 韓国では、精密機械工場で操業停止になったり、街に外出禁止令が出されたりしたこともある。

 困るのは、呼吸器などへの健康被害だ。花粉症やぜんそく、アレルギーなどの症状を悪化させるようだ。動物実験などで確認されつつある。

 被害を減らすため、福岡市は気象庁の予測をもとに生活面や健康面で注意を呼びかける「黄砂予報」を始めた。

 対策をとるために黄砂を科学的に知らなければならないが、わからない部分が多い。

 まずは発生源の地域を正確に突きとめ、飛来ルートを割り出すことが必要だ。

 1972年に日本と中国が国交を正常化してから、両国は環境分野で政府や民間の協力を積み上げてきた。

 日中韓の環境相会議も07年、黄砂の共同研究を始めることに合意した。作業部会が開かれてきたが、中国で予報を担当する気象局が不参加のため、高精度の予報システムをつくるのが難しい。

 5月に日中韓の首脳会議が予定されている。日本政府はその機会に、各国の環境省しか参加していない共同研究の枠組みを広げるよう、提案するべきだ。

 予報を担当する気象局も加え、生のデータを交換し、共有する体制にするのだ。

 中国の内モンゴル自治区を中心に、砂漠を緑にする活動をしている日本沙漠(さばく)緑化実践協会をはじめ、日本から植林を支援する活動が続いている。

 ところが中国ではそれを上まわる年2千平方キロ前後の砂漠化が進んでいるそうだ。

 情報の交換とともに、発生源の環境を改善する取り組みもさらに進めたい。

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