HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48756 Content-Type: text/html ETag: "22343-145b-4be1f10286119" Expires: Fri, 20 Apr 2012 22:22:19 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 20 Apr 2012 22:22:19 GMT Connection: close 4月21日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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4月21日付 編集手帳

 歌人の斎藤(ふみ)さんにゴキブリを(あわ)れんだ一首がある。〈()き声をもし持つならば愛さるる虫かと言ひてごきぶり(たた)く〉。神様がもうひと工夫してくださればよかったのに、と同情を寄せている。寄せても、最後は叩くのだが◆「神様のもうひと工夫」が欲しい気持ちは、クモも同じだろう。とりたてて悪さはしないのに、見た目で損をしている。どうせおいらは美しいものに縁のない嫌われ者よ…と嘆く彼らには面目一新の朗報かも知れない◆1万本のクモの糸を束ねたバイオリンの弦はナイロン製の弦よりも丈夫で、音質も優れていたという◆奈良県立医大の大崎茂芳特任教授(生体高分子学)が米国の物理学会誌に発表した。ナイロン弦に比べて強度は4割、弾性は3割高く、プロ奏者が弾き比べたところ、より柔らかく深みのある音が出た、との高評価を得たという。神様の知られざる“ひと工夫”であったかどうか◆堀口大学に『ハンモック』という詩がある。〈蜘蛛(くも)が張つたハンモックに/(ちょう)が乗つてゆれる/金の円光につつまれて…〉。気のせいか、そよ風が金色の糸と奏でる音楽が聞こえるようである。

2012年4月21日01時48分  読売新聞)

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