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朝日新聞の天声人語をもっと読む大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の天声人語。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。
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アルゼンチンからフォークランド諸島を奪い返した英国は、3年後に軍用空港を造った。開港式は、しかし国会議員の放言でぶち壊しになる。「軍政と闘ったアルゼンチンの母親たちは(やすやすと占領された)島民よりずっと勇敢だった」。外地では政治家も高ぶるらしい▼尖閣諸島の買い取りを米国で発表した石原東京都知事は、「政府に吠(ほ)え面(づら)かかせてやる」とけんか腰だった。それが成田空港では「国が乗り出し万全の態勢を敷くなら、東京はいつでも下がります」と落ち着いた▼つまり、国境の島々に都の表札を掲げることより、領土問題に鈍感そうな政府を動かす策だと。自らは「尖閣を国有地にした男」として名を残す。そういうことだろう▼確かに島が民有地のままでは、いつの日かあらぬ筋に渡りかねない。実際、海外からは「3島350億円」の打診もあったそうだ。領土保全のために公有化するなら、都ではなく日本国が買うのが本来である▼中国や台湾が領有を言い出したのは、周辺の海底資源が注目された1970年前後。昨今は漁船や監視船が出没し、明治期から続くわが国の実効支配を揺さぶっている。海洋進出を急ぐ中国は、南シナ海でもフィリピンやベトナムと摩擦が絶えない▼さてどうする。隣人との友好は大切だが、腫れ物に触るような毎度の外交では、先方がさらに踏み込んでくるかもしれない。こと主権に関しては筋を通し、争点はとことん話し合うのがまともな国だろう。世界が見ている。